「パパ活狩り」少年らが会社員から車や現金を強奪し逮捕
デートの見返りに金銭を受け取る「パパ活」で出会った男性会社員(30)から乗用車などあわせて112万円相当を奪ったとして、警視庁少年事件課が8日までに、川崎市内に住む塗装工の17~19歳の少年5人と女子高校生(16)の計6人を強盗容疑で逮捕した。
少年らの一部は容疑を認め、「遊ぶ金が欲しかった」と話している。
パパ活を悪用して金品を巻き上げることを「パパ活狩り」と称していたという。

男性の後ろめたさにつけ込んだ組織的な犯行
捜査関係者によると、6人は地元の仲間で「パパ活」を装って少女の顔写真をSNSに投稿した。
8月22日午前3時頃、女子高校生とそれに応じた男性会社員は東京都狛江市内の駅で落ち合う。
そして女子高生は男性の車に乗り込み、わいせつな行為をしようと男性に話しかけ、公園に向かわせた。
その後少年らと待ち合わせ場所になっていた川崎市多摩区の路上で合流。
少年らは男性に対して「俺の女に手を出しやがって。警察に言わないでやるってことはどういうことかわかるよね」「警察に行くか100万円払うかどっちだ」などと脅して男性の車を乗っ取った。
そして少年らは、その内のメンバーである少年の自宅で男性を軟禁。
翌朝になってからディスカウントストアに男性を連行し、イヤホンや花火など18点(計約13万円相当)を男性に買わせて奪った疑いがある。
その後も少年らは、男性を午後8時ごろまで連れ回していた。
同庁は、少年らがこの他にもATMで現金を引き出させたなどして、男性から計百112万円相当を奪ったとみている。
取り調べに対し指示役とみられる19歳の男は「男性が勝手に車を差し出した」と容疑を否認し、女子高校生も「車を奪うとは知らなかった」と容疑を否認している。

今後の課題とは
こうした犯行の手口を「美人局(つつもたせ)」と呼び、美人局は昔から行われてきた。
未成年相手に性的関係を持とうとすることは、淫行条例や児童買春などの罪に問われ、違法行為に当たる。
しかし相手は用意周到、組織的に犯行に及んでいる。
誘った対象が18歳未満であれば、金を渡して性的関係をもった男性は淫行条例や児童買春などの罪に問われるし、ことに至らなくても、社会的制裁が待ち受けている。
男性の弱みにつけ込み、犯人グループは18歳未満の女性をあえて誘い出し役として仲間に引き入れているのだ。
そのため、パパ活の相手を募集する女子高校生のSNSの投稿に自から連絡させるように仕向けることで、相手に後ろめたさを起こさせ、そこにつけ込んで脅すことで成功率は高くなる。
今回も、逮捕された女子高校生がツイッターで相手を募集し、応じた男性と駅で待ち合わせ、わいせつな行為をしようと男性を誘った上で、仲間の少年らが男性の弱みに
つけ込んで脅したというパターンだった。
この種の事件は恐喝罪で立件されることが多いが、今回は強盗罪が適用されている。
美人局の中でもかなり悪質で、男性が抵抗できなくなるほどの強い脅しをかけたケースといえる。
男性の弱みにつけ込み、脅迫してお金を要求するのは間違いなく犯罪行為であり、男性の自業自得による結果ではなく、別物として考える必要がある。
かつては反社会的勢力などが良く行う手口だったが、今は普通の若者が手を組み、相手はどうせ被害届もださないだろうと、安易な気持ちで始めるようになった。
この様に逮捕や立件になれば、小遣いきっかけで始めたことが人生を棒に振ることになる。
その重大さを理解せず、軽い気持ちで行っていることが残念だ。
一方、この犯罪に巻き込まれた被害者側も見つからなければ大丈夫ではなく、速やかに被害届を出すべきである。

その他の「パパ活狩り」のケースでは
2021年4月、少年2人がSNS上で「パパ活」をしている17歳の少女のふりをして公園に男性を呼び出し、顔を殴るなどしたとして、警視庁に逮捕された。
強盗傷害の疑いで逮捕されたのは、墨田区に住む17歳の無職の少年と葛飾区に住む17歳の会社員の少年の2人。
2人は東京・江東区の公園で会社員の男性(45)の顔を殴るなどの暴行をし、金品を奪おうとした疑いだ。2人は金品を奪おうとしたが、警察官に見つかり、何もとらずに逃走した。
2人は容疑を認め、「デートのプレゼント代として3万円くらい欲しかった」「他にも同様の手口で10件くらいやった」などと話したとのこと。
昨今SNSの情報を見て、今回のような脅迫以外にも、詐欺に遭う、詐欺に加担する側になるなど、様々な犯罪に巻き込まれるケースが増えている。
その背後には事件に巻き込まれても、後ろめたさから被害届を出さない人も多く、そのことがこの様な犯罪が無くならない、減らない原因にも繋がっている。犯罪グループは、SNSの書き込みを通じてターゲットを呼び込む餌をまき、それに応じる人たちを狙っている。
安易に「返信」「いいね」「リツイート」をすることは危険だ。
