ポスト岸田をねらう?自民党茂木幹事長
自民党の茂木敏充幹事長が12月19日BSテレビ東京の番組「MIKKEI日曜サロン」に出演し、その際、将来的に首相を目指すかどうかと問われた際、その期待にいつか答えないといけない、と語り、ポスト岸田に対する意欲を表した。
この日の質問では、派閥に関して、総理を排出した派閥の会長に就任したことなど総理になるための必要条件をこなしてきているが、この先は総理しかないではないか、との問いに対し、今の政権を支えることがすべてだが、そのうえでグループの仲間、支援者の期待にいつか答えなければいけないと思っている、と述べた。
茂木幹事長は11月4日に就任後、給付金で公明党との調整を迅速に決着、さらに旧竹下派の会長に就任し、茂木派を発足させるなど実績を上げている。
また、番組では幹事長就任から1か月半で自民党内の変化についての問いに、スピード感と国民目線の大切さの二つを上げた。
総選挙後すぐ、経済対策をとりまとめて審議、間もなく成立の見込みとスピードを強調。
加えて、文書通品費や雇用調整助成金など国民の目線でおかしいこと思うことを党が決めて返還するという。
また週末は地方を巡って対話集会を行い、生の声、現場の声を大切にしたいとおもい、そのようなことを党の政策に反映させたいと述べた。
続いて他の派閥や公明党との関係について、麻生副総裁との関係、岸田総理、安倍元総理との関係は良好であり、公明党とも信頼関係に基づいて良好な連携関係を強調した。
安倍元外相は12月13日のBS日テレの番組で、茂木幹事長がポスト岸田の有力候補の一人と考える、と発言した。
これは、岸田政権のコアから外されたことによる安倍元首相の嫉妬発言であるとみられている。
というのも、実際、最近は岸田、麻生、茂木の3人の関係が急速に深まっているという背景がある。
それぞれの派閥が結束すれば強固であり、そこに安倍元首相が入る余地はなく、蚊帳の外におかれる恐れが強い。
そのことから、茂木派を自分の陣営に引き込みたいというねらいで、茂木幹事長のポスト岸田有力候補という発言があったのではないか、と読まれている。
現在、自民党派閥は現在のところこのようになっている。
最大は「清和政策研究会(清和会)」の95人で、離党した細田博之衆議院議長に代わり安倍晋三元首相が復帰し会長に就任した。
第2派閥は「志公会」53人で麻生太郎副総裁が会長である。
第3派閥は「平成研究会」51人、故竹下亘氏の後任に公認したのが茂木敏充幹事長だ。
第4派閥は「志帥会」44人、二階堂俊博元幹事長が会長であり、第5派閥が岸田首相の「宏池会」42人、岸田首相は会長に留任したままである。
一方第6派閥だった石破茂元幹事長の「水月会」は所属議員が減少のため派閥解消してグループへ移行し、「近未来政治研究会」8人は会長だった石原伸晃元幹事長の落選で会長を森山裕前国会対策委員長が就任となっている。
安倍元総理の第1派閥が最大とはいえ、第2、第3と第5がタッグを組めばかなり強力であることは一目でわかる。
また、番組の中で国会への対応について野党が変化する中、連携に変形があるかどうかの問いには、基本的には自民党と公明党の連立政権ということを踏まえ、自民公明を中心に様々なことを進めてゆくという基本姿勢に変わりがないことを確認した。
そのうえで変わる野党との関係は様子を見て対応する予定である。
たとえば憲法改正にかんしては、野党との関係で今までより雰囲気が変わりつつあると感じているとのことである。
また、各党の関心の高い項目を持ち寄って議論し、何が優先順位が高いかを国会に決めてもらい、国や社会を取り巻く環境の変化を考えながら、議論しながらきめてもらえればと考えている。
茂木敏充幹事長は昭和 年(1955年)生まれで今年66歳。
東大経済学部を卒業したあと、丸紅と読売新聞社に勤務し、その後アメリカのハーバード大学ケネディ行政大学院に留学。
帰国後はマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。
マッキンゼーでは大前研一が代表を務める平成維新の会の会長事務局に就任し、その後政界入りした。
茂木幹事長は政策に通じているため、官僚への要求が高く、そのため機嫌を損ねると大変なことになるとされ、官僚の間では対策マニュアルまで作成されて共有されているという。
同じく、部下や後輩に厳しい、自他ともに厳しい、能力は抜群だが人望がない、などと評価されている。
岸田首相の任期は2024年秋とあと3年。
来年行われる参議院選挙の結果次第では次期首相の座が巡ってこないこともない。
ちなみに、この番組で愛読書を聞かれた際、読書量は多くジャンルも広いがあえて言うなら塩野七生の本で「ローマ人の物語」、「十字軍物語」、「ギリシャ人の物語」の3冊をあげた。
またコロナ以前は塩野七生が毎年1回日本に帰国する際には必ず本人に会っていたと話していた。
好きな食べ物はラーメンだが、緊急事態宣言下では自分で料理することが多く、ロールキャベツのカギは肉よりもキャベツであると語った。