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代表作『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』!松本零士さん死去

壮大なSF漫画の名作を生み出す

漫画家の松本零士(本名 晟・あきら)さんが、2023年2月13日午前11時、急性心不全のために85歳で亡くなっていたことがわかった。

2月20日に東映が発表した内容によると、近親者のみで告別式をすでに執り行い、喪主は妻の牧美也子さんが務めたという。

後日、お別れの会を開く予定。

松本さんが所属する霊時社の代表取締役を務める長女の松本真紀子さんは、「漫画家松本零士が、星の海に旅立ちました。

漫画家として物語を描き続けることに思いを馳せ駆け抜けた、幸せな人生だったと思います。

『遠く時の輪の接する処で、また巡り合える』と松本は常々申しておりました。

私たちもその言葉を信じ、その日を楽しみにしています。

これまで応援くださいました関係各社の皆さま、お世話になりました各自治体ならびに各団体の皆さま、若かりし頃から共に切磋琢磨してくださった漫画家の先生方、そして旅立ちにあたりサポートしてくださいました病院の皆さま、心より深く感謝申し上げます。

本当にありがとうございました」とのコメントを発表した。

テレビアニメや映画化された『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などヒット作で知られる松本さんは1938年1月25日、福岡県久留米市出身。

絵を描き始めたのは6歳の頃からで、9歳の頃に手塚治虫作品『新寶島』や『月世界紳士』と出会ったことをきっかけに漫画を描き始めたという。

2作に代表される壮大なSF漫画を数多く生み出し、戦闘機などを独特な模写で詳細に仕上げた作風は、海外のSF映画にも影響を与えた。

2019年11月、代表作の1つである『宇宙海賊キャプテンハーロック』がイタリアでのテレビ放送40周年を迎えた際に訪れたイタリアのトリノで倒れたことがあったが、その後帰国してから体調は回復。

最近になって体調を崩したため、年齢を考慮して入院生活を送っていた。

松本零士先生、ありがとうございます。安らかに。
松本零士先生、ありがとうございます。安らかに。

数多く寄せられた追悼メッセージ

松本さんの訃報に際し、多くの著名人から追悼のメッセージが寄せられている。

同じ漫画家として長年親交があったちばてつやさんは、公式サイトに「松本零士さんが高校を卒業して北九州の小倉から上京したばかりのツメエリ姿、当時19歳の彼と出会って60年以上が経ちました。

同じ漫画家の卵、トシが近いせいもあって意気投合」と2人の出会いを振り返り、「海外で体調を崩し、中々調子が戻らないとは聞いていて、ずっと心配していたのですがまさか…言葉もありません。

ここ数年、親しいマンガ家仲間が次々と旅立って淋しい思いをしていたのに、君も逝ってしまったのか。

もう…体中の力が抜けていくよ」と思いを綴った。

『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』など、松本さん原作のテレビアニメで主題歌を歌った歌手のささきいさおさんは、「果てしない夢をいだきながら、宇宙に旅立たれたことと思います。

ご存命中は色々とご指導いただき、ありがとうございました。

これからも作品の心を大切に歌っていきます」とのコメントを寄せた。

アニメ『銀河鉄道999』の主人公、星野哲郎の声を演じた西友の野沢雅子さんは、「松本先生とは銀河鉄道999の全国縦断イベントで本当にいろいろなところにご一緒させて頂きました。

気さくでお話が上手、山口では車掌さんの制服を着てとても喜んでいらっしゃったお姿を昨日のことのように思い出します」と思い出を偲んだ。

そして、「優しい方でした。またご一緒出来るのを楽しみにしていたのですが、叶わなくなってしまい寂しい気持ちでいっぱいです。

既に車掌さんが999号で待ってると思いますので、どうか一緒に楽しい旅を続けてください」と、“999”の名物キャラクター“車掌”に触れたコメントを発表した。

また、“999”の主要キャラクター、メーテルの声を演じた声優の池田昌子さんは「あまりにも突然のことで何と言っていいものか、言葉が出てまいりません。

松本先生にはただただ感謝を申し上げるしかありません。

先生と一緒に旅ができたことは私の一生の宝物です」とコメント。

そのメーテルのモデルとなったのは、ドイツの女優で1994年に亡くなったマリアンヌ・ホルトさんだと言われている。

ホルトさんが1955年に主演した独仏合作映画『わが青春のマリアンヌ』を松本さんは何度も観るほど大好きだったという。

松本さんは故郷北九州市で、2012年に開館した“北九州漫画ミュージアム”(北九州市小倉北区)の名誉館長を、開館から2021年6月まで務めた。

北九州市では、メーテルなどが描かれた北九州モノレールが運行されており、地元北九州市からも追悼の声が数多く寄せられている。

メーテルのモデルとなったマリアンヌ・ホルトさん
メーテルのモデルとなったマリアンヌ・ホルトさん

宇宙飛行士にも与えた影響

松本さんが描く作品といえば宇宙などを描いたSFものが有名だが、四畳半もの、戦争ものなど実は幅広い。

2018年のインタビューでは、「“999”も“ハーロック”も“エメラルダス”も“男おいどん”も、実は一つの物語。

先祖代々つながっていて、いつか夢を果たす。

最後に、全部一緒にした物語を描きたいと思っていますが、描くと死にそうなので、まだいやなんです」と語っていた。

同年には『銀河鉄道999』の最後の新作として「ドリームブラックホール」を発表し、鉄郎とメーテルが999号に乗り、宇宙の真理を知るために永遠の旅に出るという物語を描いていた。

松本さんが描き続けた世界観は、毛利衛さんや山崎直子さんなどの宇宙飛行士にも大きな影響を与え、毛利さんは「松本さんが愛用されていた腕時計『スピードマスター』とともに宇宙飛行しました。

とても喜んでくれたことを思い出します」と、感謝をこめて松本さんを偲んだ。

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