「火垂るの墓」にも登場!あの赤缶の「サクマ式ドロップス」が消える!?
赤缶は2023年1月に廃業へ
中高年の方なら誰でもサクマ式ドロップに関する思い出があるだろう。
缶の中の飴をカランコランさせて、 レモン味にオレンジ味やらハッカ味やら、様々な味を楽しんだのではないだろうか。
そのドロップが目の前から消えることになった。
「サクマ式ドロップス」を製造販売する佐久間製菓(株)が2023年1月20日に廃業すると通知した。
サクマ式ドロップスは1908(明治41)年に東京の佐久間惣次郎商店から発売。
創業者の佐久間氏が、輸入品だったドロップスを初めて国産化した。
当時はよどんだ色で、夏になると溶けてしまう欠点があった。
それを改良し、夏になっても溶けず、酸味料を入れることによって透明感のある今のようなドロップを完成させた。
これはサクマ式製法と呼ばれた。
その後、戦争により被害を受けたが、1948(昭和23)年に再興。
映画「火垂るの墓」では、冒頭から全編にわたってサクマ式ドロップが登場した。
見るには悲しい映画だが、兄の清太と妹の節子がドロップを大切に味わう姿が印象的だった。
その後も事業を拡大していったが、新型コロナによる需要減や、原材料、エネルギー価格の高騰、人員確保の問題も重なり、2021年9月期は1億5,173万円の赤字と発表。

緑缶は今後も継続へ
緑色の缶の「サクマドロップス」を製造するサクマ製菓(株)は、「いちごみるく」も手掛けている会社だ。
近年では人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボでも注目された。
こちらは「佐久間製菓の廃業に関する影響はなく、通常通りキャンディー製造を続けている」とコメント。
実は「サクマ式ドロップス」と「サクマドロップス」は別物だ。
「サクマ式ドロップス」は今回廃業することになった佐久間製菓が作り、 「サクマドロップス」はサクマ製菓が作っている。
二つの会社は、戦前は「サクマ製菓」という一つの会社だった。
戦争が激しくなると砂糖の供給も止まり、ドロップを作るなど許されない状況で会社は解散した。
そして終戦を迎え、会社は再建。
ところが気がついたら全国にサクマを名乗る会社が五つ出来ていた。
しかし、自然淘汰されて今の2社が残り、訴訟で争うことに。
裁判の結果、佐久間製菓がサクマ式の登録商標を獲り(赤缶)、サクマ製菓に元の社名であるサクマ製菓の表記が認められた(緑缶)。
佐久間製菓は来年に廃業となるが、会社の平均寿命が10年のところ、創業以来115年続いたとは立派だ。
個人の感傷だけで会社経営は続かないのが現実だが、これから最後の思い出に購入する消費者も出てくるだろう。

