ダルでも大谷でもない、侍ジャパンのキーマンとは?
WBCワールドベースボールクラシックの日本代表は3月5日、選ばれた全30選手がそろった。
アメリカで調整していたレッドソックスの吉田正尚と、カブスの鈴木誠也の負傷離脱により追加招集されたソフトバンクの牧原大成が合流。
9日の初戦、中国戦に向けて最終調整を進める中、パドレスのダルビッシュ有でもエンゼルスの大谷翔平でもない、グラウンド内外でキーマンとなる選手がいる。

大谷がインスタ更新 ど真ん中にいたのは
大谷が自身のインスタグラムに5日、
「ファンの皆さん一緒に頑張りましょう!」というコメントを添えて写真を投稿した。
選手30人とエンゼルスで大谷の通訳を務める水原一平氏の集合写真。
焼肉店で決起集会を開いたとみられ、テーブルにはワインのボトルが数本空いており、盛り上がった様子がうかがえる。
中央にはダルビッシュや、先日合流したカージナルスのラーズ・ヌートバーの姿が見える。
そんなメンバーの中で、ど真ん中の最前列に陣取っているのがソフトバンクの近藤健介だ。
椅子に腰掛け、左膝の上に右足を乗せるようにのけぞって足を組み、両手でサムズアップポーズを決めている。
近藤の隣には片膝を立てた大谷が写っている。

鈴木誠也の離脱で攻守のポイントに
まるで近藤が主役のような一枚に、大谷のインスタグラムにも「近藤会」というコメントが寄せられている。
ただ、近藤が鍵を握るのはグラウンドの外だけではない。
カブスの鈴木誠也が左脇腹を痛めて離脱した影響で、近藤が攻守で重要なポイントになるからだ。
当初、外野はライト鈴木、センターにヌートバー、レフト吉田と、メジャーリーガーで固めることが予想されていた。
しかし、鈴木の離脱に伴い、近藤がセンターを守る可能性が出てきた。
近藤は4日の中日との強化試合ではライトとセンターを守り、打撃では1番で3打数2安打、1打点の活躍を見せた。
昨シーズンまで所属した日本ハムではレフトを守ることが多かった近藤だが、センターの守備についてショートの源田壮亮(西武)は
「近ちゃんはやっぱりすごくうまいし、肩も強い」と評価。
清水雅治外野守備走塁コーチも
「すごくセンターから指示を出している。
そっちの方が機能するかなっていう考えもある」と語る。
センターは「外野の要」。
連係プレーで指示を出す場面も多く、ヌートバーが日本語をあまり話せないことを考えると、近藤がセンターを守る方が連係はスムーズにいくと思われる。

大谷が「天才的」と表現するバッティング
近藤には打撃面での期待も大きい。
今シーズンからソフトバンクに移籍し、7年総額50億円と推定で契約が報じられた。
しかし、近藤は入団会見で同じソフトバンクの柳田悠岐と比較し「ギータさんより高いは絶対にないです」とこれを否定。
それでも、高い評価を受けて相当額の年俸で契約したことは間違いない。
選球眼が球界トップクラスで、2019年にはリーグ最多の103個の四球を選び、2020年には2年連続で最高出塁率のタイトル獲得となる.465を記録。
プロ11年の通算打率は.307を誇る。
侍ジャパンの強化試合でも4日までの4試合で10打数7安打の安打製造機。
栗山英樹監督も「あれが近ちゃんの普通なんで、ああいうバッターなんでね。
いつまでたっても塁に出続ける感じしかこっちはない」と信頼を寄せる。
近藤のバットコントロールのうまさを、日本ハムで一緒にプレーした大谷は「天才的」と表現する。
久しぶりに再会した2人がじゃれ合う姿がみられ、相変わらずの仲の良さが伝わってきた。
「変わらず生意気なガキです。
生意気な後輩とでも言っておいて下さい」と近藤は大谷のことを表現するが、可愛い後輩ということだろう。
9日の初戦に向けて、近藤は
「しっかり自分の状態を上げながら大会に入っていきたい。
何番を打ってもスタイルを変えるというタイプではないので、フォアボールで出たり、ランナーがいたら返して繋いだり。
そういうところ意識したい」と語る。
近藤がどこを守るか、何番を打つかが、侍ジャパンの鍵を握る。
