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世界一の侍ジャパン コーチの暴露から見える絆の強さ

  WBCワールドベースボールクラシックで2009年以来、3度目の優勝を果たした日本代表。

MVPを獲得したエンゼルスの大谷翔平やパドレスのダルビッシュ有らメジャーリーガーはそのままアメリカで所属チームのキャンプに合流。

日本でプレーする選手たちはチャーター機で帰国し、空港に詰めかけた多くのファンから祝福を受けた。

栗山英樹監督が「本当に勝ちきってくれて、素晴らしい試合、素晴らしいチームだったなと思います」

と帰国会見で語った言葉からも今大会の侍ジャパンのチームワークの良さが伝わってくる。

空港で待っていたファンに手を振る栗山監督。
空港で待っていたファンに手を振る栗山監督。

清水コーチ「大嘘を教えてしまいまして…」

  帰国会見ではコーチ陣から思わぬ「暴露」も飛び出した。

  準々決勝のイタリア戦、2回1死一塁で走者は岡本和真(巨人)。

打者は源田壮亮(西武)で、岡本が二盗を狙ったが、二塁でタッチアウトになった。

そこまで足が速くない岡本が単独スチールをすることは考えにくく、ツイッターでは「岡本の盗塁」がトレンド入りするなど、ファンの間でも疑問が残っていた。

  この場面について清水雅治外野守備走塁コーチは

「すみません。

あれは僕が横から大嘘を教えてしまいまして、エンドランだと(岡本に)言いました。

それでアウトになりました。

申し訳ございません」と謝罪。

岡本のサイン間違いも疑われていたが、無実が明らかになり、清水コーチの前に座っていた岡本も笑みを浮かべていた。

  また、清水コーチは大会を通じて印象に残っていることについて、カージナルスのラーズ・ヌートバーが予想以上に早くチームに馴染んだことを挙げた。

ヌートバーは母が日本人で、日系人としては初めて日本代表に選ばれた。

ヌートバーは少年時代、2006年に田中将大(楽天)や斎藤佑樹(元日本ハム)ら高校日本代表がアメリカ遠征した際にヌートバーの家がホストファミリーとなって交流。

9歳の頃から日本代表になることを夢見ていたが、日本語があまり話せないこともあり、未知数な部分も大きかった。

  それでも、3月にチームに加わると「ペッパーミル」パフォーマンスを始めて一体感をもたらした。

1番打者として打線を引っ張り、センターの守備で何度も好プレーを見せた。

  清水コーチは「あそこまでチームに溶け込むとは思っていなくて、実際はすごく不安だった。

ですが、彼がすごく引っ張ってくれてこういうかたちになったこと、すごく感謝しています」とヌートバーをねぎらった。

日本でもお馴染みになった「ペッパーミル」
日本でもお馴染みになった「ペッパーミル」

大谷の「憧れを捨てて」 アメリカでも絶賛

  アメリカでは、決勝を前にした円陣での大谷の言葉も話題になった。

  「憧れてしまっては超えられない。

僕らは超えるために、トップになるために来たので、きょう1日だけは憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」

  日本のプレーヤーからすれば日頃はテレビで試合を観ているメジャーリーグの選手たち。

大谷にとっては彼らと対戦するのが日常。

2022年は104年ぶりとなる二桁勝利、二桁本塁打を達成し、15勝34本塁打でベーブ・ルースの記録を塗り替えた。

日本選手の高い技術や実力を知っているからこそ、大谷が周りの選手の背中を押そうとした言葉だった。

  試合後には元ヤンキースの名手アレックス・ロドリゲスから現地中継局のインタビューを受け、Aロッドから「感動的なスピーチだった」と意図を質問された。

  大谷は「リスペクトの気持ちが強いと受け身になってしまう。

負けないんだという気持ちでいきたかった」と答えた。

イチローからダルビッシュ、ダルビッシュから若手にバトンが渡されていくことに期待。
イチローからダルビッシュ、ダルビッシュから若手にバトンが渡されていくことに期待。

イチロー氏からダルへ 繋いだ世界一のバトン

  チーム最年長の36歳で牽引役となったダルビッシュの存在も大きかった。

若手からピッチングについての質問に積極的に答え、何度も食事会を開いて選手間の距離を縮めた。

  2009年の世界一を知る唯一の選手で、2月の宮崎合宿には初日から参加。

この姿勢には元マリナーズのイチロー氏が

「今回何より嬉しかったのは、ダルが日本代表の招集日初日から参加してくれたこと。

ダルの思い、意気込みも含めて、チームを引っ張るという覚悟。

繋げてくれている証だと僕は思っている。

もちろん次回も代表メンバーに入る状態にあってほしいけど、後輩たちが今回のダルの思いを繋げていってほしい」と称賛。

イチロー氏は2006年、2009年に連覇し、2009年は共に戦ったダルビッシュが世界一のバトンをつないだ。

  ダルビッシュは「もちろん光栄ですね。

イチローさんに褒められることなんてないと思う。

自信になりました」と語った。

  次回のWBCは2026年に開催される。

ダルビッシュが再び代表で投げる姿はもちろん、大谷を中心に、佐々木朗希(ロッテ)や村上宗隆(ヤクルト)といった若手が世界一のバトンを受け継いでいくことを期待したい。

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