9得点で快勝の侍ジャパン 9日の初戦へ準備整う
WBCワールドベースボールクラシックを戦う日本代表は3月7日、強化試合でオリックスと対戦し、9-1で快勝した。
本番前最後の調整となった試合。
4番に入ったレッドソックスの吉田正尚が3安打4打点と活躍し、ヤクルトの村上宗隆と西武の山川穂高が本塁打を放つなど順調な仕上がりを見せた。
日本代表は9日に初戦の中国戦を迎える。

吉田が3安打 村上と山川は復活のアーチ
初回から日本代表が攻勢に出た。
2番近藤健介(ソフトバンク)が四球を選んで出塁すると、3番大谷翔平(エンゼルス)がセンター前ヒットを放って好機を拡大。
この日に不調だった村上に代わって4番に入った吉田がチェンジアップを確実に捉え、ライト前へのタイムリーヒット。
あっという間に日本代表が先制点を奪った。
続く岡本和真(巨人)はセンターフライに倒れたが、6番に入った村上。
2死一、二塁で、カウント3-1から150キロの直球を強振した。
打球は逆方向へぐんぐん伸びて左中間へのスリーランホームラン。
村上は4番を外れたことについて「悔しい思いもあった」と言うが、「日に日に一歩ずつ感覚が良くなっていますし、3月9日に合わせてやってきた中で一本が出たので準備ができたのかなと思います」と手応えを語った。
2回には2死満塁から吉田がレフトへ走者一掃となる3点三塁打。
4回には2死二塁で大谷の代打で出場した山川が左翼線へタイムリーヒットを放った。
山川は実戦で15打席ノーヒットだったが、これが初安打となった。
ほっとした山川は8回にはレフトスタンドへのソロホームラン。
ベンチ前ではお決まりの「どすこい」パフォーマンスも披露し、完全復活を印象付けた。
「打撃練習から極端に始動を早めにしていたので、しっかり間合いを取ることができました」と、タイミングの取り方の試行錯誤が結果につながった。

ヌートバーの「ペッパーグラインド」 チームに一体感
山川のどすこいパフォーマンスに誰よりも釘付けになっていたのがラーズ・ヌートバー(カージナルス)だ。
山川の動きに合わせて球場全体に「どすこーい」と歓声が沸き、一体感が生まれた様子に感動。
ヌートバーは「めちゃめちゃよかった。ロッカーで、もう一回再現してもらったんですけど、アメリカに持ち帰っちゃうかもしれないです」と、試合後のロッカールームで伝授されたことも明かした。
ヌートバーのペッパーグラインド、ペッパーミルと呼ばれるパフォーマンスも話題となっている。
ヒットを放った後などに、胡椒をひく調理器具をグリグリとひねるように両手を動かすもの。
所属のカージナルスでやっているパフォーマンスで、胡椒をひく「grind」には、粉々になるまで努力するという意味が込められているという。
昨年7月にチームが連敗して不調だった時期からやり始めた。
ヌートバーは日本代表で初めての試合となった6日の強化試合の前に、同じメジャーリーグでプレーする大谷に日本でもパフォーマンスをやっていいか相談したという。
「翔平にやってもいいか聞いたら、『いいよ』って言ってくれて。
チームのみんなが気に入ってくれてるといいなと思います。
チームの雰囲気をあげるためのちょっとしたパフォーマンスなんです」
大谷が6日に2本の本塁打を放った時にも同じパフォーマンスをして、すでにチームの一体感を生むルーティンとなっている。

14年ぶり世界一へ 栗山監督「超全力で」
最後の強化試合を12安打、9得点の快勝で締めくくった日本代表。
3安打と活躍した吉田は今季からレッドソックスに移籍したため、慣れ親しんだオリックスの本拠、京セラドーム大阪での凱旋試合となった。
ファンの前であいさつする機会がなくオリックスからアメリカに渡ったということもあり、試合後のヒーローインタビューで吉田は
「懐かしいなって思います。
7年間ここで成長できました。
本当にありがとうございました。
皆さんの声援が力になると思います。
一緒に戦っていきましょう」
と感謝を伝えた。
いよいよ開幕するWBC。
9日の中国戦に向けて栗山監督は「選手たちを信じきって前に進むだけ。一人ひとりが力を発揮できるよう超全力で行きます」と語る。
2009年以来、3大会14年ぶりの世界一へ、侍ジャパンの挑戦が始まる。
