WBC侍ジャパン準決勝進出 大谷のバントが流れ呼ぶ

 WBCワールドベースボールクラシックは3月16日、準々決勝が東京ドームであり、日本代表がイタリア代表に9-3で勝利した。

先発した大谷翔平(エンゼルス)が5回途中まで2失点で切り抜け、打者としてもバントで意表をついて好機を広げた。

この日は7番に入った岡本和真(巨人)が3ランホームランを含む5打点の活躍。

終盤にはダルビッシュ有(パドレス)が中継ぎとしてマウンドに上がるなど、万全の体制でアメリカで行われる準決勝に駒を進めた。

流れを呼んだ大谷のバント。
流れを呼んだ大谷のバント。

「大谷シフト」逆手にとるハイリターン

 4万1723人の観衆も、敵も味方も知らない。

大谷だけが知っていたことだろう。

 3回に大谷がバントをした場面だ。

1死一塁、イタリアの守備陣は「大谷シフト」を敷いて、内野の選手が極端にライト方向へ寄っていた。

三塁線はがら空き。

 初球、大谷は打つと見せかけてバントに切り替え、三塁側へ転がす。

相手の左投手が巧みなフィールディングを見せたが、送球は一塁をそれた。

記録は内野安打となり、一気に一、三塁へと好機が広がった。

続く吉田正尚(レッドソックス)の遊ゴロの間に、日本が先制点を挙げた。

 大谷は「極端な守備シフトだったので、理想はもうちょっと強めに確実に一、二塁をつくるバントが良かったですけど。

結果的に一、三塁になったので狙いとしては良かったと思います」と振り返った。

 1回には151キロのツーシームを完璧にとらえ、普通であればセンター前に抜けるヒット性の当たりを放ったが、「大谷シフト」の網にかかり、遊撃手がキャッチしていた。

第2打席では、そのシフトを逆手に取った見事な判断だった。

 「無理に正面で引っ張った打球がゲッツーになるっていうのが一番最悪なシナリオなので。

リスクを回避しながらなおかつハイリターンが臨めるチョイスをしたつもり」と大谷は言う。

 栗山監督も「ずっと彼を見てきて、翔平らしさが出るのはああいう時。

絶対に勝つんだと野球小僧になる時に彼の素晴らしさが出る」と、愛弟子のプレーに目を細めた。

 大谷は投手としても1回からエンジン全開の気迫のこもった投球を見せた。

固唾をのんで見守る東京ドームに、大谷が投げる度に「うぁー」とあげる気合の声が響いた。

 2回には先頭打者をこの日最速の164キロのストレートで空振り三振に。

解説を務めていた松坂大輔さんも「甲斐選手のミットを突き抜けていくようなすごいボール」と驚いた。

 大谷は5回2死満塁で2点適時打を打たれて降板したが、被安打4、5奪三振で先発の役割を果たした。

「リスクを回避しながらなおかつハイリターンが臨めるチョイスをしたつもり」と大谷。
「リスクを回避しながらなおかつハイリターンが臨めるチョイスをしたつもり」と大谷。

岡本が5打点の大暴れ 「最高です」5連発

 打線では岡本が普段本拠地としている東京ドームで大暴れ。

 3回2死一、二塁、外のスライダーをやや泳ぎながらもバットにうまく乗せて左手を払うようにフォロースルー。

高く舞い上がった打球がレフトスタンドに飛び込んだ。

 5回にも無死二、三塁で初球のスライダーを強振。

ライトへの2点二塁打となった。

 ヒーローインタビューで岡本は質問に対して「最高です」を5連発。

最後に意気込みをと問われて「えー、もう」と違うことを言い始めた途端に会場から笑いが起き、岡本も空気を読んで修正。

照れ笑いしながら口を手で覆った後、気を取り直して「最高です」と締めた。

 イタリア戦の平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は48.0%で、

今年の全番組の1位を記録。WBC中継では10日の韓国戦の44.4%を上回り、歴代1位を更新した。

岡本「最高です」を5連発。
岡本「最高です」を5連発。

栗山監督「本当の勝負はここから」

 準決勝に向けて日本代表はアメリカに移動し、日本の試合は日本時間で3月21日午前8時から。

メキシコ対プエルトリコの勝者と対戦する。

 栗山監督は「アメリカに行って、メジャーリーグで活躍している選手たちと試合をする経験だけは、若い選手たちにさせてあげたかった。

そういう意味では、本当の勝負はここからはじまる」と意気込みを語る。

 勝てば決勝の相手はアメリカかキューバ。

2009年以来の世界一奪還へ、あと2勝だ。

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