日本政府 ロシア 追加制裁決定
目次
4月19日から新たなアルコール飲料など38品目の輸入禁止へ
ロシア軍のウクライナでの非人道的な行動をめぐり、日本政府はロシアへの追加制裁措置として、アルコール飲料や木材など合計38品目のロシアからの輸入を禁止することを決めた。
これまでにロシアからの物の輸入を禁止する事はなかった。
今回の追加措置は4月19日から有効となる。

これまでのロシアへの制裁
現在、日本が参加しているロシアの制裁は下記になる。
- 経済制裁
- オリガルヒの資産凍結
- ロシアへの輸出規制
- WTOの最恵国待遇の取り消し・撤回
経済制裁
日本は経済制裁を行い、戦争を止めるためにロシア政府に圧力をかけている。
- アメリカ欧州に続きSWIFTからロシアの締め出しを表明
- 中央銀行とズベルバンクの資産凍結、取引制限
- ビットコインなどの暗号資産で資産移動を防ぐため外国為替法改案を提出
貿易などの送金でも使われるSWIFTからの排除は、実質の世界経済からの孤立を意味し、ロシア企業に送金や支払いができなくなっている。
ロシア中央銀行の資産凍結もロシア経済に強力な影響を及ぼしている。
中央銀行は通常ドルやユーロなどの外貨を売り、ルーブルを買い戻すことによって通貨安を防いでいるが、今回の措置によって外貨売りが縛られてしまうことによってルーブル安が加速している。
この影響によって12日、外貨建てのロシア国債について、米格付け会社が一部債務不履行(デフォルト)と認定し、金融市場を乱さないために直後に格付け自体を撤回した。
オリガルヒの資産凍結
プーチン大統領、及び、プーチン大統領と個人的なつながりが深いとされるロシアの超富裕層たちへの制裁を通じ政権に圧力をかける。
対象者はロシア議会の議員に加え、プーチン大統領を支える新興財閥「オリガルヒ」のトップなど17人にわたる。
日本の金融機関と取り引きを行う際、政府の許可が必要となるなど、事実上の資産凍結となる。
さらに日本に駐在するロシア大使館の外交官ら8人を追放することも明らかにし国際社会との結束を優先する姿勢を鮮明にした。
ロシアへの輸出制限
トラックやトラクターに使われる高出力のディーゼルエンジン、産業用機械の制御に関わる半導体、通信装置やセンサー57品目での輸出禁止。
2014年のクリミア侵攻以降、制裁対象となっていた工作機械や炭素繊維などの230余りの品目は継続。
合計で300品目の輸出禁止となる。
さらに、ロシア超富裕層のオリガルヒを対象とした600万円を超える乗用車、
20万円を超えるグランドピアノ、4万円を超える真珠などのジュエリー、ウイスキー、腕時計なども追加された。
世界貿易機関の最恵国待遇に取り消し
日本とロシアはWTO=世界貿易機関に加入しているが、その中の条件である関税などでいずれかの国に与える最も有利な待遇を、ほかのすべての加盟国にも与えなければならないというルール(最恵国待遇)を撤廃。自由貿易のメリットをなくす狙いである。
今回追加の措置
ブチャでのロシア軍による多数の民間人殺害を受けて日本政府は下記のような追加制裁を決定した。
- ロシア企業に対する10%以上の出資禁止
- ロシア企業への1年間の貸付禁止
- 398の個人資産を凍結対象にする
- 日本企業の支店設置や拡張金などの支払いを禁止する
- アルコール飲料、木材、機械など38品目の輸入禁止
注目する点としては、398の個人資産を凍結と、日本の歴史初の38品目の輸入禁止である。
- 398の個人資産を凍結対象にする
新たに398人と28団体を資産凍結の対象とした。この中にはプーチン大統領の2人の娘、カテリーナ・チホノワとマリヤ・ボロンツォワの両氏やラブロフ外相の妻子、妻のマリヤ・ラブロワ、娘のエカテリーナ・ビノクロワの両氏らを含めている。
ロシア最大手の政府系銀行ズベルバンク、民間銀行として最も大きいアルファバンクの資産も凍結する。
- アルコール飲料、木材、機械など38品目の輸入禁止
4月19日から、ウォッカ、ビール、ワインなどのアルコール飲料や、丸太やチップ、それに原木を切って削った単板などの木材のほか、自動車やオートバイとそれらの部品、金属加工機械、ポンプといった、機械類・電気機械が対象となる。
例外として3か月間の既存の注文に関しては免除になる。
官邸関係者は「各国やっているなかで日本もやらざるを得なくなってきている」としているが、あまり厳しすぎるとロシアからの報復措置される懸念もあり慎重に措置内容を検討しているようである。

現在のロシア側の処置
日本やアメリカ、EU、イギリス、韓国、台湾などの48の国と地域を「非友好的な国と地域」に指定。
ロシアは制裁に反発しており、ロシア外務省は21日、「日本との平和条約交渉を続けるつもりはない」などとする声明を発表した。
北方領土の元島民によるビザなし訪問を打ち切り、北方四島での共同経済活動に関する対話からも撤退するとしている。
日本は欧米と肩をそろえてロシアに経済制裁し、ウクライナ侵攻をはやく終息するように圧力をかけているが、一方、ロシア軍はウクライナの東部への攻勢強めてる。日本にとってロシアへ経済制裁を追加することを必要であるが、これから日本、ヨーロッパ各国も高額な天然ガス、石油を購買するしかなくなる恐れがある。
これからの時代はもっと不安定で物価高になると予想できる。
