知床 観光船遭難 事故の経緯は

今月23日、乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU 1」が知床半島の沖合を運航中に遭難した事故は、これまでに11人の死亡が確認され、現在も捜索が続けられている。

ウトロ港からの出航後になにがあったのか。

午前10時頃、「KAZU 1」ウトロ港を出港

斜里町のウトロの港に設置してあるNHKのカメラに、午前9時50分すぎに子ども2人を含む乗客24人と乗員あわせて26人が次々と乗り込み、午前10時ごろに観光クルーズ船のKAZU 1が港から出発する様子が映されていた。

巡回コースは「知床岬コース」と呼ばれ、知床半島の先端にある知床岬でUターンし、午後1時には港に戻ってくる予定だった。


知床斜里町観光協会によると、運航会社は、23日、冬季の休業を経て、今シーズンの運航を始めたばかりだった。

強風・波浪注意報が発令

事件当日の23日は、知床半島全域に強風波浪注意報がだされていて、午後からはさらに風が強くなって海が荒れると予想されていた。

漁に出ていた漁船はこの警報に従い、正午ごろには港に戻ったという。

運航会社の関係者によると、「海が荒れるのを知っていたので、危険だから当日は行くなと止めた。なぜ海に出て行ってしまったのかと思う」と述べた。

また漁業協同組合の組合長も、船長に対し「波が高くなるから出港しない方がいいと警告したが、聞かなかった」とコメントしている。

午後1時13分、海上保安庁に救助を要請

出港からおよそ3時間後の午後1時13分事件は起きた。

「KAZU 1がカシュニの滝近くで、浸水している。」と別の運航会社から海上保安庁に連絡があった。それから5分後の午後1時18分、「船首が浸水している。エンジンがとまった。救助をしてほしい」とKAZU 1から直々に海上保安庁に救助要請があった。

その後、午後2時55分には、観光船の運航会社が「船首が30度ほど傾いていて沈みかけている」と海上保安庁に通報した。

また午後2時ごろにあった連絡を最後に船からの連絡が途絶えていたことも報告された。

現地の観光船関係者によると、事故現場のカシュニの滝付近は潮の流れが速く、暗礁があるため地元では危険な場所として知られていたという。

岩礁の大きさはおよそ縦30メートル横10メートルほどで、船舶にとっては座礁のリスクが高い為、この場所を通過する観光船は十分に注意しながら航行しているということであった。

海上保安庁が捜索開始

23日

通報を受けた海上保安庁は、巡視船と航空機で救助に向かったが、準備に時間がかかり午後4時半ごろ、ようやく救助用のヘリコプターが現場付近に到着した。
救助船も通常であればより早く現場付近に到着できたと考えられたが、当日は海上が荒天だったこともあり、午後5時55分に現地付近に到着した。通報からすでに4時間近く経っていた。

捜索は夜通し行われたが、遭難した乗客と乗員は発見されなかった。

24日

前日の反省を受けこの日からは、地元の漁師や、防災ヘリコプターも捜索に加わり、救助態勢がより強化された。
午前5時5分ころ、警察の航空機から知床岬付近の海上で3人を発見、救助活動が行われた。午前5時45分には海上保安庁の航空機が知床岬の先端の岩場で1人を発見した。
その後も行方不明者の発見が相次ぎ、24日は夜11時すぎまでに子ども1人を含め、合わせて11人が発見され、全員の死亡が確認された。

しかし依然、15人の安否がわかっていない状態である。

2度の事故

国土交通省によると、知床半島の沖合で事故を起こした観光クルーズ船のKAZU1は、去年のうちに2度も事故を起こしていたという。
1度目は、2021年5月、航行中に浮遊物に衝突し、乗客3人が負傷した。

翌月の6月にも港を出た際に浅瀬に乗り上げる座礁事故を起こしていた。

乗客に負傷者はいなかったが、船長の豊田徳幸さんが業務上過失往来危険の疑いで書類送検された。北海道運輸局は、運航会社に対し文書で指導を行い、会社は国に改善報告書を提出したが、豊田船長が「KAZU 1」の操船を担当していた。

地元関係者によると、豊田船長は埼玉県の出身で、経営者交代の際に、従業員の大半が入れ替わった事を受けて去年から船長を任されていた。
以前は操船に関わる仕事はしていなく、船長としての経験は未熟であった。

現在、道警、自衛隊が引き続き捜索にあたっている。これまでに乗客11人の死亡が確認され、今だ16人は見つかっていない。


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