政治

岸田首相の長男翔太郎氏更迭。首相秘書官辞職を発表も止まらぬ批判

「厳しく注意」も一転、首相秘書官を事実上の更迭

政府は、首相公邸内において親族と忘年会を行い記念写真を撮影したことなど不適切な行動が問題視されていた岸田文雄首相の長男で、首相秘書官(政務担当)を務めていた岸田翔太郎氏が2023年6月1日付で辞職した。

事実上の更迭となり、後任には山本高義元首相秘書官が復帰する。

2月にはLGBTなど性的少数者に対しての差別発言をしたとして、当時の首相秘書官荒井勝喜氏も更迭されており、今年に入って2人の首相秘書官が更迭されることになった。

忘年会が行われたのは、2022年12月30日。

岸田首相と翔太郎氏が暮らす首相公邸に、岸田家の親族が10人以上集まって忘年会を行っていた様子が写真付きで文春オンラインで5月24日に報じられた。

文春オンラインの記事では、テーブルいっぱいに食事やビールなどのアルコール類が置かれた写真のほか、日本政府の紋章が付いた演説台でポーズを取る人や赤じゅうたんが敷かれた階段に並んで撮った集合写真も掲載されている。

集合写真の中央には翔太郎氏が笑顔で移り、別の写真では親族と見られる男性が階段で寝そべって写っているものもあり、この男性は岸田首相の甥だという。

この赤じゅうたんが敷かれた階段は内閣の閣僚が並んで集合写真を撮影する場所として使われており、2022年8月の岸田内閣改造の際にも、岸田首相を閣僚達が囲んで撮影されている。

岸田首相と、当時首相秘書を務めていた翔太郎氏が首相公邸に入居したのは、首相就任から約2か月後の2021年12月のこと。

首相官邸事務所によると、首相公邸には万全な警備体制や執務機能を備えており、要職を招くこともある。

そのため、年間約1億6000万円もの維持費がかかるという。

サミットの高評価で上昇した支持率に水を差す事態に

文春オンラインの報道を受け、5月25日に松野官房長官は

「今回の報道にあるような行為は適切さを欠くものであると認識している。

今後このようなことがないよう適切な使用・管理を徹底したい」と語っていた。

岸田首相自身も「報道されているような行為は適切さを欠くものであり、国民の皆さんの不信を買うようなことであれば誠に遺憾だ」と話し、

「私から本人に厳しく注意した」と語っていた。

首相秘書官としての進退については「緊張感をもって対応してもらいたい」とし、更迭は否定していた。

しかし、翔太郎氏は今年の1月に岸田首相の欧米訪問に同行した際、公用車で観光していたなどと報じられた。

このときは岸田首相の土産物の購入などを行っただけで不適切な行動はなかったとしていた。

しかし、相次ぐ翔太郎氏の報道に与野党からの批判が高まり、6月21日の国会会期末が迫る中、政権運営へのダメージを回避するために首相秘書官交代という決断に至ったと見られている。

首相は翔太郎氏の辞任について、「公的な立場である政務秘書官として不適切であり、けじめをつけるために交代させることとした」とし、更迭であるとした。

自身に任命責任があることも認め、「重く受け止めている」と語っている。

しかし、自身の責任については「国民の皆さんの声に耳を澄ませ、先送りできない課題一つ一つに答えを出していくことにまい進することで、職責を果たしていきたい」と述べた。

また、「G7(主要7カ国)広島サミット後の業務が一段落したことから、このタイミングとした」とも述べていた。

G7広島サミット後、岸田内閣の支持率は上昇したが、翔太郎氏の報道後は支持率が低下した調査もあり、サミットの効果に水を差す形となった。

6月1日の辞任日にも疑いと批判の声

2022年10月に政務担当の首相秘書官に就任した翔太郎氏。

就任時も、“身内びいきの人事”や“公私混同”だと批判する声が出ていた。

さらに今回は6月1日付で辞任という日程についても、ネット上で批判の声が高まっていた。

松野官房長官によると、翔太郎氏本人から「退職手当や期末手当、勤勉手当が支給されるのであれば、全て返納したい」との申し出があったという。

しかし、国家公務員の夏のボーナスの基準日が6月1日で、6月1日まで勤務すれば満額支給される。

そのため、5月29日に辞任の発表があったにもかかわらず5月いっぱいではなく6月1日に辞任することでボーナスを満額受け取るために6月1日の辞任にしたのではないかと疑う声が出ていたのだ。

翔太郎氏が受け取りを辞退するという発表はネットで批判された後だったため、「火消しのためだろう」と新たな批判も出ている。

ネット上にはほかにも、「辞退すると言っても自動的に振り込まれるはず」

「振り込まれた後でどこかに寄付でもするのか?どうするのかは国民には分からない」など、さまざまな意見が寄せられている。

岸田首相は息子に甘すぎるとの批判を受け続けていた挙句、その息子が引き起こした今回の事態。

この危機をどう乗り切るのだろうか。

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