2年ぶりに外国人観光客の受け入れ再開 10日から
各自治体、経済立て直しに期待膨らます
政府は、6月10日から約2年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開する方針だ。
新型コロナウイルス蔓延前の2019年の訪日外国人は3188万人にしていたが、2021年は 25万人と大幅に減少していた。
今回の受け入れ対象の国は、感染リスクの低い98カ国で添乗員付きパッケージツアー客に制限されている。
政府は観光再開に向け、先月から海外4カ国を対象とした旅行客受け入れの実証事業を行い、12県が参加していた。
栃木県は計6コースで18人の外国人を受け入れ、日光東照宮や鬼怒川温泉、華厳の滝などを案内した。
各自治体はマスク着用を含め、外国と日本との感染対策の「温度差」に試行錯誤しながら取り組んだが、外国人客からはおおむね好意的な声が聞かれた。
今回の観光再開を通して、政府はコロナ禍で冷え込んだ経済立て直しに期待をしている。

感染対策の原案を政府が発表
感染対策は、日本人の基準に合わせ、ツアー開始時にイラストを使ってマスク着用が必要な場面などを分かりやすく説明することも提案した。
旅行業者には、密を避けるような日程を組むことや、感染対策をした施設を使用する事を推奨する。
旅行業者はツアー販売時に、参加者がマスク着用や手指消毒などを徹底するとともに、民間医療保険に加入することを説明する。
従わなければ、参加・継続を認めない可能性があることも伝え事前に同意を得ておくよう求めている。

◆受け入れのポイント
▽旅行業者はツアー客に、マスク着用など感染対策の徹底をさせる
▽民間医療保険加入を求め、違反者には参加・継続を認めない可能性があることの同意を得る
▽感染者が出ても、陽性者と濃厚接触者以外はツアー継続を可能とする
▽感染対策は日本人の標準に合わせる。旅行業者は密を避け、対策を徹底した施設を活用する
▽添乗員はツアー客の行動履歴を保存する
国内の人々の反応
行政で働く担当者は「海外のようにマスクをしなくていいという意識で来られたら、地元住民は反感を抱く可能性がある。外国人の受け入れは今の段階では早いと嫌がる人たちも少なくない」と住民からの反発を危惧していた。
世界からの反応
スイスの民間研究機関が2021年の旅行・観光の魅力度ランキングを発表し、日本が対象117か国・地域の中で1位になった。
これは07年の調査開始以来、初の快挙となる。2位はアメリカ、3位はスペインが続いた。
112の審査項目のうち、交通インフラや、文化、自然などの観光資源で好評を得た。
そして欧米などと比べて治安が良いことも高い評価を得る要因の一つとなった。
オーストラリアの旅行会社社長は、「2年近くも国境を閉じていたにもかかわらず、日本を訪れたいという関心は依然として高い。国境が完全に開かれれば、予約も殺到するだろう」と話している。

