社会・文化

新型コロナウイルス、感染症法の位置づけが5類に引き下げに伴う様々な変化とは

“笑顔の作り方講座”の参加者急増

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症が、感染症法の位置づけにおいて2類から5類に引き下げられた。

今まで我慢を強いられてきた分歓迎する声が多い一方、「今後、具体的に何がどう変わるのかよくわからない」「コロナが終息したわけではないので不安」などの声も聞かれている。

そんな中、新型コロナウイルスの引き下げを機に“笑顔の作り方講座”が人気だという。

「笑顔は育てるものである」という考えで、笑顔講座などを開催している株式会社“笑顔育”(神奈川県逗子市)は、笑顔に対する興味や関心を高め、笑顔に必要な知識を習得し、笑顔の実践ができる人を育てる教育活動を行っている。

笑顔育が、5月7日に東京都北区にある赤羽高齢者あんしんセンターで開催したセミナーには、約30人が参加した。

コロナ禍はオンラインでセミナーを開催していたが、参加者はほとんどいなかった。

しかし、2022年11月にマスクの着用緩和が報じられて以降、講座の参加者が急増。

3月、実際に緩和が実施されてからは、さらに参加者が増えている状態だという。

今年の2〜4月に開催したセミナーの受講者は、昨年度に比べて4.5倍にも増えている。

コロナ禍で人に会う機会がめっきり減り、人前で笑顔を見せる機会が減っていたこと。

また、ずっとマスクを着用して口元を人に見せる機会もほとんどなかったが、今後は人に会う機会や笑顔を見せる機会が増えることから、受講者が急増していると見られている。

「笑顔は育てるものである」表情だけでなく、心から。
「笑顔は育てるものである」表情だけでなく、心から。

5類への引き下げに伴い、何が変わるのか?

新型コロナウイルス感染症対策については、さまざまな考え方や感じ方があるのは当然だが、今までマスク着用に賛成派の人はもちろん、反対派の人も我慢をしてマスクの着用を続けてきた。

しかし、マスクの着用が緩和になっても変わらずマスクをしている人は多くいる状態。

5類に移行後はマスクの着用率が減っていくことが予想されるが、まだ不安が拭えない人、マスクにすっかり慣れたがために外せない人などもいるだろう。

5類になっていろいろなルールが緩和されることで、コロナに対するそれぞれの考え方の違いがより一層浮き彫りになるのではないかと危惧する声もある。

それでは一体、5類になると何がどう変わるのか、具体的に見ていこう。

まず、発熱の症状が出た場合、どこを受診したらよいのか。

5類は季節性インフルエンザと同じ扱いになるため、これまでのように自治体に指定された発熱外来を受診する必要はなくなり、受診する医療機関を自分で選ぶことができる。

新型コロナウイルスの患者の受け入れを行ってきた全国の医療機関は、2023年2月の時点で約4万2,000だったが、5類への移行に伴い、約4万4,000まで増える見込みだ。

さらに今後、受け入れ可能な医療機関を約2万増やし、6万4,000ほどにするという方針を政府は示している。

しかし、受け入れる体制を整えるには準備が必要なため、診療するかどうかは各医療機関の判断に委ねられている。

そのため、すぐに受診可能な医療機関が増えるかどうかは不透明だ。

当面は、各都道府県が受け入れ可能な医療機関名の公表を続けていくという。

室内でマスクを着用するも、ついつい息苦しくなり鼻を出すことも。
変わらず室内でマスクを着用するも、ついつい息苦しくなり鼻を出すことも。

コロナ前の生活に戻るのは段階的?

受診可能な医療機関に加え、コロナによる入院患者の受け皿も広がる見込みだ。

政府は「明らかに顔色が悪い」「意識がおかしい」などの症状が見られた場合は、ためらうことなく救急車を呼んでほしいと呼びかけている。

救急車を呼ぶほどでもない症状の場合は、かかりつけの医療機関に相談することを勧めている。

そのため、今まではコロナ感染による入院患者の受け入れを行っていなかった全国約3,200の医療機関にも入院患者の受け入れを促しており、合計で約8,200の医療機関で入院患者の受け入れ態勢を整える予定となっている。

さらに、今まではコロナウイルスに感染した場合、原則7日間の療養機関が求められていたが、今後は法律に基づく外出自粛の要請はなくなる。

しかし政府は、発症してから5日間は感染リスクが高いため、発症日を除いた5日間は外出を控えるよう呼び掛けている。

小中学校に関しては、「発症後5日経過」「症状が治まってから1日経過」の2つの条件を満たすまでは登校できない。

5類への引き下げに伴い変わる点は、ほかにもある。

多くの人が気になっているであろう診察料は、今までは新型コロナウイルスの検査と、検査で陽性だった場合の診療は無料だったが、今後は無料ではなくなる。

しかし、急に患者の負担が増えないよう、公費による支援は段階的に減らしていくという。

9月末までは、外来での薬代への支援が続けられる。

しかし、それ以外にかかった医療費は、コロナウイルス以外の病気同様に有料となる。

入院した場合も、9月末までは薬代などの公費支援は続けられ、医療費や食事代などは個人負担となる。

そして、ワクチン接種に関して今年度は、高齢者など重症化リスクの高い人達は、春夏に接種が受けられる見通し。

また、重症化リスクが高くないその他の5歳以上の人達については、秋冬に無料で受けられる。

最後に、感染者の公表方法について。

今までの、毎日すべての感染者数を発表する「全数把握」を取りやめ、今後は全国の約5,000の医療機関からの情報を集約し、週に1回公表する「定点把握」に変わる。

死者数についても、毎日の公表をなくし、月ごとに人口動態統計で公表する形に変わるという。

当面は2か月後に公表するが、その後は当該月の5か月後の公表に変わっていく予定だ。

5類への引き下げに伴い、自動検温器やポスター類、カーテンや仕切りのパネルなどの撤去を進める企業や店も多い反面、すべて撤去せず様子を見ながら段階的に撤去を進める方針の会社もある。

しかし、確実にコロナ前の生活に戻る方向に進んでいくだろう。

3年にも渡って続いたコロナ禍にすっかり慣れた部分が大きいので、元に戻ると言っても戸惑いを隠せない人は多い。

様子や状況を見ながら、コロナ前の環境に段階的に慣れていく人が多いのだろうか。

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