アルゼンチンが36年ぶりW杯制覇 メッシは代表続投へ
サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)2022カタール大会は決勝が行われ、アルゼンチン代表がフランス代表をPK戦の末4-2で破り、36年ぶり3度目の優勝を果たした。
試合は90分では2-2で決着がつかず、30分の延長戦でも3-3の同点でPK戦に。
4人全員が成功したアルゼンチンが頂点に立った。
大会の最優秀選手(MVP)にはアルゼンチン代表のキャプテン、リオネル・メッシが選ばれ、2014年ブラジル大会以来2度目のMVPで、史上初の複数回受賞となった。

作戦はまったアルゼンチン PKも冷静
まさに激闘だった。
アルゼンチンは前半23分にメッシのPKで先制。
36分には自陣からワンタッチやツータッチでボールをつなぐ速いカウンターで一気にゴール前まで迫り、アンヘル・ディ・マリアが追加点を奪った。
アルゼンチンの作戦が見事にはまった。
本来は右サイドのディ・マリアを逆の左サイドで起用した。
準決勝までの6試合でスタートからディ・マリアを左で使うのは一度もやっていない形だった。
システムも準決勝の4-4-2から4-3-3に変更した。
これにフランスは戸惑い、球際の強さやルーズボールへの出足の速さもアルゼンチンが上回り、試合は終始アルゼンチンが支配した。
しかし、後半35分にフランスがPKをキリアン・エムバペが決めると、その1分後にもエムバペがワンツーからの浮き球を強烈なボレーシュートで決めて同点に追いついた。
延長戦でも、延長後半3分にアルゼンチンのメッシが相手GKがシュートを弾いた球を押し込んで一時は勝ち越し。
だが、試合終了間際の延長後半13分にフランスのエムバペがPKを決めてまた同点に追いついた。
エムバペはハットトリックを達成し、決勝戦でのハットトリックは1966年のハースト(イングランド)以来、56年ぶり。
今大会8ゴールで得点王となった。
PK戦ではアルゼンチンは冷静に4人全員が成功。
フランスは二番目のキングスレイ・コマンのキックがGKに止められ、三番目のオーレリアン・チュアメニはゴール左に外し、アルゼンチンが勝利した。
メッシがマラドーナと伝説に
メッシにとっては5回目のW杯挑戦で悲願の優勝でもあり、記録ずくめの大会となった。
メッシのW杯通算出場試合は26試合となり、元ドイツ代表のマテウスを抜いて歴代最多。
試合出場時間も元イタリア代表のマルディーニの2217分を上回って歴代最長となった。
今大会は7ゴール3アシスト。
得点王こそ同じパリ・サンジェルマンでプレーするエムバペに奪われたが、10番を背負い、キャプテンマークを巻いて母国が1986年メキシコ大会以来となるW杯のトロフィーを掲げた。
36年前のメキシコ大会はマラドーナの活躍でアルゼンチンが優勝した。
同じ左利きで10番のメッシは常にマラドーナと比較されてきた。
メッシはその年の世界最高の選手に贈られるバロンドールを7回も受賞し、欧州チャンピオンズリーグは4度優勝。
アルゼンチン代表でも歴代最多得点で、南米王者を決めるコパアメリカも2021年に優勝。
2014年ブラジル大会はあと一歩の準優勝に終わり、唯一と言っていい獲得できていないタイトルがW杯だった。
「最後のW杯になる」と公言して臨んだ大会で、メッシは念願のトロフィーを獲得。
マラドーナと共に伝説となった。
2020年に60歳で亡くなったマラドーナも喜んでいるだろう。

「まだ続けたい」代表引退を撤回
大会前は代表引退も示唆していたメッシだが、試合後のインタビューでこう語った。
「本当に苦しんできたけど、ようやく手に入れた。
本当にこれが欲しかったんだ。
誰もが幼い頃に抱いた夢だったと思うし、僕も人生でずっと欲しかったタイトルだった。
これ以上望むものはないよ。
全部手に入ったことに感謝したい。
こうして自分のキャリアのほとんどを終えることができたのは、感慨深いものがあるね。
僕はサッカーが大好きで、このチームとこのグループで本当に楽しみながらやっている。
だから世界チャンピオンとして何試合かは続けてみたい」
今後も王者メッシが代表でもプレーする姿が見られそうだ。
