社会・文化

北海道バターの原料にマーガリン? Twitterでデマが拡散されるも、メーカー側は完全否定

きっかけはTwitterの投稿

雪印メグミルクの “雪印北海道バター”の含まれる原材料を偽っているとの情報が、SNSで拡散される事態となっている。

北海道バターは1925年に販売を開始したロングセラー商品。

きっかけは、2022年12月9日、Twitterに投稿されたツイート。

「この有名な雪印のバターは、表にも裏にも書いてないけど、実は30%マーガリンが入っています。

完全に騙している。

明治、森永、雪印は人生から排除なり」というツイート文とともに、北海道バターの画像が投稿されている。

雪印メグミルクの公式サイトに掲載されている北海道バターの商品紹介には、「北海道の自然に育まれたミルクのコクと、風味が詰まったバターです。

製造が始まったのは1925年(大正14年)。

今も昔も変わらないロングセラー商品です」と説明されている。

原材料は“牛乳(北海道産)”、“食塩”の2つが明記されているが、投稿者は根拠を示すことなく食用油脂などが原材料に含まれるマーガリンを使っていると指摘。

投稿者はさらに、「勇気をもってポイしましょー!」と破棄を呼びかけたり、健康に害があることを示唆したりなどしているが、雪印メグミルク側は完全否定。

社内でのSNSモニタリングやお客様センターに寄せられた電話やメールで事態を把握。

消費者からの問い合わせが寄せられている状態で、今後の対応は検討中とのこと。

雪印メグミルクの広報は、12月21日、J-CASTニュースの取材に応じ、「マーガリンが入っているのはあり得ない」ときっぱり否定。

健康被害の恐れもないとし、「事実無根で意図がわかりかねる内容」と困惑した様子で回答した。

ツイートを見た多くの消費者は「デマではないか」と批判しているが、中には「え!?ほんとに?」「たまに買ってた」とのツイートが見られ、不安や疑心暗鬼になった人もいるようだ。

投稿が事実無根であれば雪印メグミルクへの風評被害ということになり、上場企業である雪印メグミルクの株価への悪影響も懸念される状況だ。

雪印の広報は「事実無根で意図がわかりかねる内容」と回答

バターとマーガリンの違い

一般社団法人 日本農業協会のホームページを見ると、バターについて詳しく書かれており、バターとマーガリンの違いについても記載されている。

バターは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」、マーガリンは「日本農林規格(JAS規格)」によって成分規格や製造方法が定められている。

バターに含まれる乳脂肪分は80%以上。

一方のマーガリン類は、油脂含有率80%以上がマーガリン、80%未満であればファストスプレッドと2つに区別されている。

原料や製造方法にも、明確な違いがある。

バターに含まれる脂肪は牛乳の脂肪分のみだが、マーガリン類にはコーン油や大豆油、パーム油、菜種油、綿実油などに、乳及び乳製品、食塩、ビタミンA、乳化剤、着色料が含まれている。

また、バターは牛乳からクリームを分離してかき混ぜ、乳脂肪を凝集させて製造する。

マーガリン類は、食用油脂に水や食塩、乳成分、ビタミンなどを加え、混合乳化したものを冷やして固めて製造する。

バターには良質な乳脂肪とビタミンAが豊富に含まれており、脂質含量としてはマーガリンも同じくらいだが、原料の違いにより構成する脂肪酸やコレステロールの量も異なるという。

バターとマーガリンには原料や製造方法に違いがある
バターとマーガリンには原料や製造方法に違いがある

なぜデマは流され、拡散してしまうのか

これまでに食品の材料や産地を偽装する事例や、事実無根のデマが流されるということはあった。

今回の北海道バターの原材料をめぐる騒動が今後どのような展開を見せるのかはわからないが、雪印メグミルクにも消費者にも大きな影響が及んでいるため、早期解決が待たれる。

昔から真実かどうかわからない情報が広まることは多いが、最近はインターネットやSNSの普及により、食品に限らずさまざまなデマがあっという間に拡散される事態が度々起きている。

新型コロナウイルスが感染拡大した当初も、コロナに関するさまざまなデマが拡散され、振り回された経験がある人も多いだろう。

新型コロナウイルスに関するデマは、ネガティブで不安を煽るような内容が多かったが、似たような現象は東日本大震災の発生直後にも起きていた。

デマが拡散した後に正しい情報が流れても、デマが拡散する速さに比べると伝わるスピードは遅く、広まりにくいという現象がよく見られる。

コロナウイルスの感染拡大が始まった頃、「マスクを増産するために紙が使われたため、トイレットペーパーが品薄になる」という情報が瞬く間に広がり、店頭からトイレットペーパーが消えるという事態が起きた。

その後、情報は全くのデマだったことが分かったが、それでも不安を拭えずに買い占めてしまう人は多かった。

ネガティブで不安な情報ほど人は信じやすく、一度広まってしまうと訂正されても不安を拭いきれない心理が透けて見える。

情報が溢れている現代、ネットやSNSには正しい情報も正しくない情報も、同じように溢れている。

何を信じてよいのか迷ってしまうが、正しいかどうか不明な情報は安易に広げないようにする注意が必要だろう。

Twitterでは簡単にリツイートすることができ、多くの人がリツイートすることであっという間に拡散されてしまうが、その前に一人ひとりよく判断することが求められている。

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