オミクロンより強毒なステルスオミクロンや「デルタ変異」の出現
オミクロン株が猛威を振るっている現在、27日には過去最多となる7万8931人の新規感染者数を出した。
その一方でこの「第6波」は来月上旬にピークを迎え、その後、収束に向かっていくという見方があるとされるが、ここにきて新たな2つの変異株の存在が明らかになり、「第7派」の可能性が高まってきているとされている。
この第7波として言われているのがオミクロン株の亜種でステルスオミクロンと呼ばれ、感染力は従来のオミクロン株よりも強いとされる。
ステルスオミクロンは現在、デンマーク以外にも米国やフランスなど、さらにインドや日本でも27の例が確認されている。
京都大学教授の西浦氏によると、感染者1人から何人に移るかを示す「実効再生産数」では一定の条件のもと、従来のものよりも18%も感染力が高いとされており、2割増しについてのデルタとオミクロンの間の差でみられたものではないが、実体としてはかなり大きな差であるとして、オミクロン株の流行規模が小さいなどと過剰に期待すると亜種への置き換わりでもくろみが崩れる可能性があると注意を促した。
また、オミクロン株よりも毒性が強いされるデルタ株の変異は東京で発見され、抗体測定の協議会の報告レポートによれば、東京では昨年の12月半ばに見つかっており、感染力や重症化率などはまだ不明とされるが、懸念すべきものと警鐘を鳴らしている。
現在、デルタ株は昨年の夏に「第5波」として起こり、30代以下の若い世代でも死者が出るなど、約2か月間で数十人の死者を出している。
このように新たな変異株の出現でまだまだウイルスによる感染拡大が懸念される状況に見られるが、一方で世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」については、「今年で終えられる可能性がある」とした。
しかし、昭和大医学部の客員教授である二木氏は「ウイルスは複製の際、エラーが生じることが時折あり、亜種の発生については不思議ではない。
ただ亜種がどういった特性を持っているのかは注意しなければならず、オミクロン株の亜種が従来のものから置き換わったことで第6波の山を大きくする恐れや、オミクロン株の次の変異にも要注意が必要」と述べた。
従来のオミクロンとステルスオミクロン
イギリスの保健当局で調査された報告によるとウイルスの遺伝子によって、「BA.1」や「BA.2」というふうにオミクロン株は系統が分かれており、従来型であるものは「BA.1」になり、全世界多くの地域で現在起こっているものとされる。
それに対し、従来から変異を重ねたもので、より増殖が早く感染力も高いとされるのが「BA.2」型のステルスオミクロンだ。
東京大学医学部研究所の佐藤准教授によれば、通常のオミクロン株にステルスと付けられ呼ばれているのは、PCR検査を行っても判別が難しいからだとされており、陽性なのか陰性なのかはわかるが詳細な遺伝子検査をしなければ、正確にはっきりと亜種のステルスオミクロンだとは分からないとされている。
このようにステルスオミクロンは従来のオミクロンよりも感染力が高いとされるが、その感染力は2倍もの開きがあり、判別も難しく、かつ感染力も高いとなると、ウイルスに合わせた適切な対策を取ることが難しく、一気に拡散されてしまう恐れがあると言われる。
そんな中、このステルスオミクロン株は今現在で日本も含め、すでに40か国以上の地域で確認されており、厚労省が1月19日に発表したものによると空港検疫では198例確認され、空港検疫で確認されたオミクロンの10.8%となっている。
また、オミクロン株の感染拡大が続いているアメリカでは、90件ほどオミクロンの亜種が確認されており、現地メディアではオミクロン株の従来型である「BA.1」が変異した「BA.2」が25日までで22の州で、92件確認されたといわれています。
アメリカ全土で約22万人の感染が確認される中、ステルスオミクロン株の亜種が確認されたのは非常に低い割合とされており、高い感染力を持つが、重症化するというデータはなく、これまで同様、重症化を防ぐにはワクチンが有効だとしています。
今後の行方
従来型のオミクロン株が減少傾向にある北欧、デンマークを例えると、2021年から増え始めたが今では減少傾向にあるが、それと入れ替わるように21年の12月からステルスオミクロン株が増え始め、今では主流になっている。
佐藤准教授は「日本も今後、まだまだ第6波が続けば、ステルスオミクロン株の第7波の恐れがあるので一切の油断もできない」と指摘する。
重症化などについては、まだ明らかにはなっていないが、油断せず感染防止対策をしっかり行っていく必要があるとされる。
危機感の差に違いはあれど、まだまだ油断しないことにこしたことはないため、引き続きしっかりと予防や対策を行っていくべきだろう。