すき家バイト中に転倒し大やけど 店の安全が不十分として提訴
牛丼チェーン店を展開する大手「すき屋でアルバイト勤務中に転倒し、高温のみそ汁をかぶり大やけどを負った東京都内の23歳の女性が、店の安全状況が不十分として「すき屋を相手取って1千万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。
この女性は、その日アルバイトとしてすき家で接客と配膳などの仕事をしていた。
その勤務中に転倒して、スープジャーが置かれていた台に接触。スープジャーの中に入っていた高温で大量のみそ汁を身体にかぶることになり、結果大やけどを負った。
その際、他の従業員はやけどを負ったその女性を、キッチンシンク前に連れて行く処置はしたものの、即座に救急車を呼ぶという緊急処置を怠ったまま接客・調理などの業務を継続した。
結果、やけどを負った本人が自ら救急車を呼ばざるを得ず、本人が呼んだ救急車で病院に搬送されるという事態になったという。
女性の主張によると、店内の床には当時麦茶がこぼれていてぬれた状態であったため、そこで誤って滑って転倒したという。
当時他の従業員は皆忙しく、配膳を急ぐことを優先して床の麦茶を拭き取らないまま放置していたため、それが今回の事故の一因であると主張している。
同時に、みそ汁をいれたスープジャーが置かれていた台が固定されていなかったことも事故を防げなかった原因だと訴える。
女性には背中から右のふとももにわたって熱傷という診断が下され、結果約3週間の入院となった。
その後、やけどの跡が広範囲にわたって残り、病院から退院したあとも1年以上の通院をすることとなったという。
マスコミの取材には、この経験から飲食店での勤務に恐怖を覚えるようになった、と話したという。
一方、提訴された側ののすき屋は11月の第一回口頭弁論にて、安全配慮義務に違反はなかったと主張し、請求棄却を求めた。
すき屋側の答弁書によると、転倒事故当時床が麦茶でぬれていたという事実はなかったと反論し、女性が当時はいていた靴が滑りやすいものであったため転倒した可能性が高いと主張して過失を認めなかった。
他の従業員も、本部からの連絡待を待っていた状態だっただけで、やけどを負った女性を放置していたのではないと主張した。
すき屋はマスコミからの取材にはノーコメント状態である。
実際にこの女性がどの程度の量のどれだけの温度のみそ汁をかぶったのか詳しくはわからないが、ここでやけどとはどういうものかについて改めて考えてみたい。。
一般社団法人日本創傷外科学会によるやけどの定義やレベルを参考に見てみたい。
やけどとは熱によって皮膚・粘膜に障害がでるものと定義されている。
そして一般に我々が「やけど」と聞くと火事や油での高温によるひどいやけどを連想する。
しかしやけどはこのような高温のものに短時間触れるだけでなる一方、44度から50度くらいの温度でも長時間接触することでなることもある(低温熱傷)。
深いものや広範囲のやけどで重症であれば命に関わる危険があるため専門施設での治療が必要となるが、そうでない場合も適切な治療がなされなければ、細菌繁殖などのリスクが生じて治りが遅くなったり、傷跡が残ったりすることがあるため、やけどを負った場合できる限り早く病院で診てもらう必要がある。
やけどの程度は影響が及ぶ程度によってI度、II度、III度の3段階に分けられている。
まずI度とは、傷害が及んだのは表皮までで、日焼けと同じく皮膚に赤みが出るような場合となる。
この場合たいていは炎症を抑制する外用薬などで、ほぼ後遺症を残すことなく直すことができる。
次にII度は真皮までの傷害で、特徴としてはみずぶくれがみられ、ひりひりした痛みがある。このII度は深さでさらに浅達II度と深達II度の2つに分かれている。
浅達II度は強い痛みがあるが知覚はあるもの、深達II度は痛みは軽いが知覚が鈍い。いずれにせよ、水ぶくれができていれば整形外科を受診すべきである。
最後のIII度は皮膚に血の気がなく白くなる、または火に焼けて炭化し黒くなるまでのやけどだ。
ここまでくると神経の損傷があるので痛みはないが、皮膚障害が大きく治療に時間がかかるため、範囲が小さい場合でも医療機関での治療が必要となる。
上記のように浅達II度までは軟膏や湿潤状態でやけどした皮膚を保護する治療で後遺症なく治るのだが、これ以上になると手術が必要となる。
やけどの後遺症として、浅い場合は色素の沈着や以上がある。
時間がたてばよくなることもある。
深いやけどの場合は傷跡が盛り上がったりケロイドがあげられる。
ケロイドがのこる場所によっては、関節を伸ばす際にひきつれが起きたり、子供の場合は成長するにしたがってひきつれたりすることがある。
また、傷跡のひきつれが長く続くと、その傷跡から皮膚がんが生じることもあるというから心配だ。
もしやけどをしたら、常に言われているようにすぐに流水でやけど部分を冷やすことが絶対、そして程度によっては早めに病院へ向かおう。