【長野・伊那市】免許返納でタクシー代250円へ

高齢者が免許返納時に悩むのが、その後の交通手段だ。

長野県伊那市でタクシー乗車の料金を250円ないし500円する取り組みが始まった。

対象は、運転免許を返納した高齢者や運転が難しい障害者。

250円ないしは500円を払い、残りは市が負担する。
250円ないしは500円を払い、残りは市が負担する。

郊外だけではなく、市街地も対象に

高齢者が免許返納時に悩むのが、「移動が不便になる」だ。

よっぽど交通網が発達した地域でないと、車を手放すのは困難だ。

すでに多くの市町村で高齢者に向けたタクシー補助制度があるが、250円で利用可能にした市が現れた。

同市は2020年度から、65歳以上の高齢者を対象に低価格で利用できる乗り合いタクシー制度を開始。

しかし、これは郊外の方が対象で、中心市街地に住む高齢者は利用できなかった。

今回4月から始まった新制度は、JR伊那市駅を中心として約7キロ四方の市街地に住む、免許返納者や65歳以上の高齢者、障害者の方々が対象となる。

1回の料金について、障害者や免許返納者は250円、65歳以上は500円を払い、残りは市が負担する。

車内にはタブレットを設置し、事前に登録した対象者のQRコードや料金メーターを読み取ると、利用料金と市が負担する料金が表示される。

平日の9時から午後3時まで利用でき、自宅から医療機関や公共施設、商業施設などに行くことができる。

市は昨年から運行試験を重ねてきた。

利用可能な市街地の住民は5929人で、すでに13%にあたる769人が登録。

このうちの約半数が実際にタクシーに乗車した。

市企画政策課の田中元喜主査は、こうした取り組みを積極的に行うことで、高齢者が免許を返納しやすくなることを期待している。

交通手段を確保することで、免許返納率が高まることを願う。
交通手段を確保することで、免許返納率が高まることを願う。

タクシー業界をも救う新制度

これは高齢者だけではなく、タクシー会社にとっても嬉しい取り組みだ。

「伊那・みのわタクシー」は、コロナ禍で売り上げが大幅に落ち込んでいた。

しかし、この制度が始まって以降は待機している車が格段に減ったという。

今後は利用者を増やすべく、免許返納に訪れる警察署などで制度を周知していく。

また、タクシー会社も高齢者が乗車した際には制度を紹介していくつもりだ。

1日あたり70人が利用する見込みで、2353万円の予算を確保済。

白鳥市長は「実証運行では多くの方に利用してもらった。

事業者からも好評なので、本格運行でも活躍が期待される」と語った。

待機者も減り、事業所をも救う制度になった。
待機者も減り、事業所をも救う制度になった。

免許返納でホテルや飲食店の割引、家族にも

250円という値段やタブレット導入など、画期的な取り組みを行う伊那市。

これをきっかけに、免許を返納しようと決断する方が増えることを願う。

また、他にもタクシーの補助制度を取り入れている市町村は多い。

タクシーや交通手段に関わるサービスだけではなく、信用金庫やメガネ屋など日常で利用する場所や、飲食やレジャーにも特典を付けている自治体が数多くある。

免許返納者にはホテルや温泉施設の割引、飲食店でデザートやソフトドリンクのサービスなど、家族にも特典が付く場合も。

中にはマクドナルドやカレーハウスCoCo壱番屋など、我々がよく目にする店が加入している地域も見られる。

これを機会に、ご自身やご家族が住む自治体のサービスを確認してみてはどうだろうか。

実は生活に沿った特典が見つかるかもしれない。

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