玉川徹氏「安部元首相の国葬に電通関与」の発言により謹慎処分
定例会見にて玉川氏の謹慎処分発表
10月4日にテレビ朝日の定例会見が行なわれ、6月に就任した篠塚浩社長や早河洋会長らが出席した。
会見では、朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』(月〜金曜・午前8:00〜)にコメンテーターとして出演中の同局社員玉川徹氏を、同日付で謹慎処分(出勤停止10日間)に決定したことが発表された。
玉川氏は9月28日に放送された同番組にて、9月27日に執り行なわれた安倍晋三元首相の国葬の際、菅義明前首相が読んだ弔辞について「これこそが国葬の政治的意図」「僕は演出側の人間としてテレビのディレクターをやっていましたから、それはそういう風に作ります。政治的意図が匂わないよう制作者としては考えます」などとコメント。さらに「(広告大手の)電通が入っていますからね」と具体名を出し、広告代理店が関与しているとの発言をした。
しかし、翌29日の放送で「昨日の放送の中で、安部元首相の国葬に電通が関与しているとのコメントをしましたが、事実ではありませんでした」「電通は全く関わっていないことがわかりました」などとして発言を訂正。
「関係者の皆様、視聴者の皆様に訂正して謝罪いたします。申し訳ございませんでした」と謝罪していた。

ネット上や政治家からも批判の声
5日の放送ではMCを務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一が、玉川氏の謹慎処分について説明し、謝罪。
玉川氏の謹慎は、5日から土休日を除く10日間で、番組復帰は19日からの予定だという。
羽鳥は「(玉川氏が番組に復帰する際には)なぜ、こういう発言になったのか改めて説明をすべき、そして謝罪をするべきだと思っております」と話し、「改めて大変申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
玉川氏の処分が発表された4日は、インターネット上で玉川氏の名前がトレンドワードとなるほどの反響を呼び、10日間の謹慎処分の内容には「まるで秋休み」「甘すぎる」など多数の批判コメントも見受けられる。

そして、現職国会議員からも批判の声が聞かれる異例の事態となっている。
自民党の細野豪志衆議院議員は、自身のTwitterに「テレビ朝日が玉川徹氏を謹慎処分にし、『再発防止に向けて徹底する』と社長が発言しているが、私が玉川氏の発言で気になるのは、特に極端なバイアスがかかっていると感じること」とツイートした。
続けて「マスコミで働く人の中で自らが『権力者』だと自覚している人は多くない。世論への影響力という意味では政治家の比ではない。ましてや玉川氏のようにテレビに出演し続ける人はなおさらだ」と綴った。
自民党の和田政宗参院議員もTwitterで、「テレ朝『モーニングショー』玉川徹氏の嘘発言問題」とツイート。
「玉川氏は出勤停止10日間。社員である玉川氏が取材もせず嘘の発言をし、『電通』という具体名を挙げた。嘘発言は株価にも影響を与えかねない。会長や社長は責任を取らないのか。玉川氏は謹慎明けに普通に出演させるのか」と続けた。
自民党の西田昌司参院議員も問題を徹底追及しており、「これでは問題は終わらない」と批判。「国民は、政治的に公平だと思ってテレビを視聴する。虚偽の情報を事実として伝えることは危険な政治的偏向だ」と語る。
「テレビ朝日は、玉川氏個人の事実誤認をしているが、本当にそうなのか? 組織として詳細な経緯を説明する責任がある」と指摘した。
テレビ朝日報道局の局員というテレビ朝日の社員でありながら、長年『モーニングショー』に出演し続けている玉川氏。これまでもさまざまな発言が物議をかもし、ネットで炎上することもあった。謹慎明けの番組復帰時には注目が集まると見られ、テレビ朝日としては視聴率を期待する側面もあるのではないかとの見方もある。
今までになく大きな騒動となった今回の玉川氏の発言。このまま謹慎明けには騒動が収束するのか、新たな注目が集まっている。

