社会・文化

旧統一教会会見 安部元総理銃撃事件山上容疑者の動機との関係は?

山上容疑者の動機とされる世界平和統一家庭連合会見

先週日本中に衝撃が走った安倍晋三元総理が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、死亡した事件。

無事を願う多くの国民の願いが届かず、悲しみや衝撃は今も日本中を覆いつくしている。

現行犯逮捕された元海上自衛官の山上徹也容疑者は、警察の取り調べで「母親が宗教団体にのめり込み、多額の献金をして破産した」と供述。

この宗教団体を安部元総理の祖父である岸信介氏が日本に招き入れたため、孫である安部元総理に恨みを募らせた末の犯行であったと話している。

山上容疑者の母親が入信していたとされる「世界平和統一家庭連合」は、旧「統一教会」として知られる宗教団体。11日、同連合の田中富広会長は都内で記者会見を開き、山上容疑者の母親が信者であり、同連合に献金していたことを認めた。

そのうえで、「(山上容疑者の母親が)破綻したことは知っているが、破綻した家庭の諸事情は知らない」と語った。献金額についても、「20年前のことなので、金額は把握できていない」としている。

さらに、「その後、この家庭に高額な献金を要求した記録は一切残っていない」「(山上容疑者の母親が宗教団体に多額の献金をして破綻したことが)今回の犯行の動機とするならば、重く受け止めなくてはならない」とも話した。

山上容疑者の母親は、2002年に破綻した後は同連合とは連絡を絶っていたが、2019年頃から再び同連合に入信し、最近は同連合の行事に1カ月に1度程度参加していたことも明らかにした。

田中会長は他に、「同連合への恨みから殺害に至るまでの距離があり、困惑している」「同連合に心ない電話やメディアからの取材攻勢を受けている」「警察の捜査には全面的に協力する」ことなどと話した。

そして、「正確、公正、客観的、事実に基づいて報道してほしい」と要請した。

世界平和統一家庭連合とは?

「世界平和統一家庭連合」は、HPなどによると1954年5月、韓国のソウルで「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」として創立し、現在は世界194カ国に拠点がある。

日本では1954年に設立され、1964年に宗教法人として認証、2017年8月の時点で日本国内には284箇所あるという。

日本の文化庁からはキリスト教系と分類されているが、伝統的キリスト教からはキリスト教とは認められていない。

1997年以降現在の名称に改称されたが、日本では2005年、各国に遅れて変更されている。

「世界平和統一家庭連合」という宗教団体を知っている人はそれほど多くはないかもしれないが、「統一教会」と聞くと多くの人が名前を知っているのではないだろうか。

特に40代以上の人は、1992年に複数の有名人も参加したことで世間を賑わせた「合同結婚式」のニュースが記憶に残っているのではないだろうか。

合同結婚式とは、教会の教祖がインスピレーションで信者同士の結婚相手を決め、信者が合同で結婚式を行うというもの。噂では韓国で結婚ができない田舎の農家の男性に、日本人の女性を結婚相手としてあてがっているという。

入信すれば日本人と結婚できると宣伝して信者を入信させ、合同結婚式後に行方不明になった日本人女性は6,500人もいるとも言われている。

その他にも、霊感商法によって多額の壺などを売りつける、信者を洗脳しマインドコントロールするなど、いくつもの噂がある。

信者に多額の献金をさせているという話も、よく知られている噂の1つである。

1980年代末から1990年代初めにかけて「霊感商法」や「合同結婚式」が大きく報道され社会問題となり、その影響で世間の風当たりが強くなり、影響力を失い、現在に至る。

安部元総理との関係は?

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、政界とも近いと言われてきた。

かつては、安部元首相の祖父、岸信介氏との関係が取り沙汰されたこともあった。

同連合の田中会長は11日の会見で、「(岸氏は)法人との関係よりも、創始者の平和運動に強く理解をしていたと思っている」と話している。

安部元総理については、「平和運動に賛意を表明していただけた」とも語った。

また、同連合の関係者によると、「(安部元総理)と特に関係が深かったわけではないが、親しみを持った政治家だった」とのこと。

もちろん、どんな理由があろうとも殺人や銃撃は決して許されることではないが、山上容疑者の動機とされている「安部元総理の祖父である岸信介氏が同連合を日本に招き入れた」というのは、全くの的外れではないようである。

また、安部元総理と同連合とは全くの無関係とは言い切れない。

改めて注目を集める宗教団体への献金問題

最近はあまり耳にすることがなくなり、旧統一教会から名前が変わったことを知らなかった人も多くいると思われる世界平和統一家庭連合だが、今回の事件で改めて注目を集めている。

世界平和統一家庭連合の多額献金問題は、これまでに法的に争われたケースがいくつもあり、連合側が負けているものもある。

ウィキペディアによると、「日本において、宗教団体による勧誘・教化行為の違法性を認めた全国初の判決となった」と記されている。

多額な献金をすること自体が問題なのではなく、そこに至るまでの過程で違法な勧誘や教化、または洗脳によるマインドコントロールなどが行われていなかったかどうかが問題となる。

11日の会見で田中会長は、「末端に至るまで、コンプライアンスの徹底を進めてきた」「献金に対する姿勢も含め、変わってきた」と語っている。

しかし、1987年5月に旧統一教会による「霊感商法被害の根絶」と「被害者の救済」を目的とし、全国約300名の弁護士によって結成された「全国霊感商法対策弁護士連絡会」代表世話人の山口広弁護士によると、「深刻な被害の相談を、今も受けている」とのこと。

昨年度の被害総額は3億3千万円、一昨年は9億1千万円であるとしている。

今回の事件によって、改めて注目を浴びた宗教団体。信仰は自由であり、宗教弾圧と非難されるような行為は慎まなくてはならない。

しかし、様々な問題が今も続いているのであれば、今回の事件を機に問題解決の道へと進むことを望みたい。

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