スポーツ

トラウトが感じた大谷翔平 「スライダーがエグい」

 WBCワールドベースボールクラシックで2009年以来の世界一に輝いた日本代表「侍ジャパン」。

決勝戦のアメリカ戦で、大谷翔平(エンゼルス)がクローザーとしてマウンドに上がり、最後の打者がエンゼルスでチームメイトのトラウトというのは伝説となる幕切れだった。

メジャーリーグ屈指の強打者トラウトは、投手大谷をどのように感じたのだろうか。

「彼は特別な才能」と大谷を称賛し、特別な思いだった打席を振り返っている。

トラウトが打席から感じた大谷とは。
トラウトが打席から感じた大谷とは。

トラウトはスプリットも頭の片隅に

 9回2死で大谷とトラウトの夢の対戦は実現した。

 この回は大谷が先頭打者を四球で出塁させてしまったため、大谷自身も先頭からアウトを取れば最後がトラウトになることは意識したというが、「あー、これ最後できないかなと思った」という。

それでも次打者を併殺に。

 はじめからシナリオが用意されていたのではないかと思える流れで、ふたりは対峙することになった。

 トラウトはバッターボックスに入る前、大谷の方へと視線を送り、「よし、やろうぜ」という感じで一度うなずいた。

アメリカの記者がこの場面をツイッターに投稿すると、「本物同士はわかりあえる」と反響があった。

 大谷もトラウトも真っ向勝負。

160キロのストレートをトラウトが2度フルスイングして空振り。

最後はフルカウントからの高速スライダーをトラウトが空振りし、日本の優勝が決まった。

 トラウトは「当然ながら見たかった結果にはならなかったけど、とても楽しい打席だった。

何球かすごい球があって、彼はすごいピッチャーだと思う」と語った。

 実戦形式の練習のライブBPや紅白戦でもふたりの対戦経験はなく、お互いが初めて出場したWBCの決勝がトラウトが大谷のボールを打席で見る初めての機会となった。

 「とにかくボールを打とうということしか頭になかった。

翔平は全球種投げるし、全部いろいろな動き方をする。

あの打席ではスプリットは1球も投げなかったけど、頭の片隅にはあった。

フルカウントでエグいスライダーを投げてきた。

本当に楽しい戦いだった。

ふたりであの場に立って対戦し、僕にとっては初めて彼の球を見た瞬間だったしね」

 そして、対戦が一度限りでは終わらない可能性も示唆した。

「彼が第1ラウンドを勝ったということ。

我々は戻ってくる。

次も出る」と、2023年の次回大会への意欲も語った。

次回大会で再び二人が戦えることを期待している。
次回大会で再び二人が戦えることを期待している。

水原通訳「あんなに楽しそうな翔平初めて」

 初対戦を楽しんだのは大谷も同じだった。

試合後には自身のインスタグラムに、試合前の練習中に撮影したツーショットと9回にふたりが対峙した場面の写真を投稿。

 大谷は2021年にMVPを獲得し、2022年にはメジャーではベーブ・ルース以来となる二桁勝利、二桁本塁打を達成。

15勝34本塁打という前人未到の記録を打ち立てていた。

 対するトラウトもMVPに3度輝き、通算350本塁打でオールスターゲームには10回出場のスタープレーヤー。

 メジャー最高峰の選手同士の対戦は、WBCが開幕する前から注目されていた。

 同じエンゼルスでも試合前にじゃれ合う姿が度々目撃され、大谷が新人王やMVPを受賞した時にはトラウトがツイッターに祝福のコメントや動画を投稿するなど、普段から仲が良い。

 そんな2人と日頃から交流がある水原一平通訳は「翔平があんなに楽しく野球をしているのを初めて見た」と言う。

WBCでの大谷のプレーは、まさに野球小僧だった。

大谷の二刀流が進化するよう支えてきた水原一平通訳。
大谷の二刀流が進化するよう支えてきた水原一平通訳。

大谷のエンゼルス残留へ トラウトも全力覚悟

 大谷もトラウトもWBC後には新シーズンの開幕に向けて、すぐにエンゼルスのキャンプに合流。

大谷は30日(日本時間31日)のアスレチックス戦で開幕投手を務める予定だ。

 クラブハウスで再会すると普段と同じように接したという。

トラウトは「いつも通りだよ。

またチームメイトに戻れてうれしい。

ハグはしてあげた。

彼は特別な才能の持ち主だし、素晴らしい大会だったよ」と語る。

 今オフには大谷がフリーエージェントになる見込みで、移籍も含めて大谷の周囲は騒がしくなりそうだ。

トラウトは大谷のエンゼルス残留に向けて

「どうなるか見守ろう。だけど、僕は彼にここに残ってもらうように常に努めるよ」と

今後も同じチームで一緒にプレーしたい思いを語った。

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。