「安さより品質」 ユニクロ“1,000円”値上げにユーザの反応は?
目次
ユニクロ秋冬物の一部について値上げ
ファストファッションで人気のユニクロが秋冬物の一部について値上げすることを発表した。
発売されて以降、ユニクロの定番商品として人気のある「フリース」。
この一部商品は、1990円(税込み、以下同様)を1,000円値上げの2,990円。
フリース以外の商品はウルトラライトダウンジャケットが5,990円から6,990円。
ヒートテックのウルトラウォームシリーズが1,990円から2,990円(税込み)に。そしてカシミヤのセーターが8,990円から9,990円と、人気商品が1,000円値上げとなっている。
しかし値上げはあくまでも一部商品にとどまっており、通常モデルのヒートテックは990円、ジーンズは3,990円と大半の定番商品は据え置き価格のままだ。
現在ファッション業界だけではなく、食品やガソリンなど多くの業界で値上げラッシュが続いている。
原材料や物流費の高騰。そして円安の影響などが重なり、多くの分野で値上げが家計に大きな負担を与えている昨今。
低価格で人気のユニクロも値上げを発表し、ネット上では様々な声が挙がっている。

ユニクロに求めるのは、「安さ」ではなく「品質」
今回のユニクロの値上げについて、ネット上では1,000円の値上げはやりすぎなのでは…?といった困惑の声は少なくない。しかし「仕方ない」と受け入れているユーザーが多いのも事実である。
以前は、低価格が売りだったユニクロだが、最近では品質を求めるお客様も増えてきている。
その背景には、低価格帯の姉妹ブランド「GU」が登場したことが大きいだろう。
GUが登場したことにより、「ユニクロ=安さ」のイメージは無くなり、安さ以外に重点が置かれつつある。
実際にユニクロユーザーからはこんな声が。
「ユニクロはシンプルでクオリティーが高い商品が手に入る」「無地でベーシックな商品は重宝する」といった価格よりもデザインや品質を重視する声が多い。
しかし中には、「どうしても長期間着られるような作りはしていないから部屋着に降格しがち。だから1,000円の値上げをするなら品質ももう少しあげて欲しい」といった声もある。
今回値上げするフリースやウルトラライトダウンは、今までと同じものではなく素材や機能性を改良するとユニクロは説明している。
また値上げ対象のフリースは、昨年まで再生ポリエステル素材の割合を30%から100%に切り替えたのだ。
環境保護の意識が高いユーザーへのアピールを強め、価格帯以外の面でユーザーを獲得していく戦略である。

今回の値上げについて
ユニクロ広報担当者は「価格は極力維持していきたい」としたうえで「素材高や物流費の高騰、円安の影響で生産コストが上がっており、今までと同じ価格でご提供することが難しくなってきている。今回の値上げに伴い、商品の見直し、機能やデザイン面のアップデートをしている」と説明した。
あくまでも今回の1,000円値上げは、今後も続くと予想されるコスト高を踏まえ、長期的に持続可能な価格構成を目指したものである、とファーストリテイリングの柳井会長兼社長は話している。
4月に行われた決算説明会では、「ビジネスは会計年度やシーズンで考えるものではなく、もっと長期で考えるもの。今季の秋冬物・来季の春物に関しては、考えに考え抜いた価格である」と今回の値上げに踏み切った経緯を語っていた。

ユニクロの今後のイメージは
ユニクロは、シャツ・カットソー・フリースなどの商品で“イチキュー(1,900円)”の価格を確立し、ユーザーに「この品質でこの価格は買いやすい」といったイメージを浸透させた。
1,900円の商品は、2,900円の商品の1.5倍売れると言われている。
そのため1,900円の商品は回転率が高く、売上でも利益でも企業への貢献度が高いといえるのだ。
反対に990円の商品は、ユーザーにとっては買いやすい価格のため数量は売れる。
しかし十分な粗利を確保できないといった問題点もあるのだ。
今回ユニクロは、1,990円のフリースの値上げに踏み切っており、990円の定番消費等は価格を据え置きにしている。
ファッション業界以外にも、食品や日用品・光熱費が立て続けに値上げしているため、消費者の財布のヒモは確実に固くなっていくだろう。
その中で今回の値上げによるイチキューまたはイチキューキューの買いやすいイメージを、消費者は今後も抱いてくれるのかがカギとなってくるのではないだろうか。
ユニクロはセール時のみ利用するというユーザーも
ユニクロは基本的にセール時のみ利用するといったユーザーも多い。
ユーザーの中には、「ユニクロを定価で買ったことがない」「ユニクロでは、セール商品だけをみる。結構大幅値下げされているので重宝している」という声がある。また「値上げをしたらユニクロには行く機会が少なくなるだろう」と語っているユーザーも。
安さを求めていた消費者にとって今回の値上げは、ユニクロ離れが予想される。価格帯を求めるユーザー・値段より品質の向上を求める声に対して、ユニクロは今後どのような方向へ向かっていくのは注目していきたい。
