「戦争反対!!」ロシアで広がる反戦運動 署名に90万人が賛同する
ウクライナへの侵攻を強めるロシア国内の各地域では、「戦争反対」を訴える抗議活動が続いています。
当局の強硬な取り締まりによって、デモ自体は大規模化してはいないが、ネット上には反戦を呼びかける署名運動が起こっており、およそ90万人以上もの多くの人が賛同しているという。
米欧らによる経済制裁はロシア国内の市民の生活にも影響を及ぼしており、このまま戦争が長期化してしまえば、えん戦気分がますます増していくだろうと予想されます。
そして27日は今から7年前の2015年に暗殺されたプーチン大統領の政敵でもあったネムツォフ元第1副首相の命日で、殺害現場になったモスクワ中心部にある橋の上には大勢の人が祈りの花を持って現れた。
多くの人は現在起きているウクライナ情勢を思い、ウクライナの国旗と同じ水色と黄色の花束やリボンを持った人らが「戦争反対」というプラカードを携え、静かに訴えていた。
そして中には警官隊によって拘束されるものもあらわれた。
会社員の男性は花をささげ、「ここモスクワまで来るのに地下鉄が走っているが、ウクライナで今走っているのは、戦車だ。
そう思うと涙が止まらない」と嘆き、「自身の家族の中にもプーチン氏の支持者が多くいるが、ウクライナの人たちには同情せざるを得ない」と思いを語った。
妻と子供の3人で橋を訪れたという、イワンさんは「隣国、ウクライナ内には仲の良い知人らがたくさんおり、今、ウクライナで起きていることを思うと、胸が痛い」と話した。
また、「戦争に賛成の人と反対の人とで社会は分断されており、ただクリミアの時と比べたら、プーチン政権を支持している人らの盛り上がりは低い」と述べた。
戦争反対への抗議活動はプーチン氏がウクライナへの侵攻を開始した24日から行われており、ロシアの人権団体によると、27日日曜には少なくとも約50都市での抗議活動があったとされている。
治安当局も抗議活動には徹底した取り締まりを打ち出しているが、その日だけで2500人が拘束され、24日からの累計拘束者数は現在、5000人を超えている。
しかし、そのような状況下であっても、抗議に出る人はなくならず、むしろあえて抗議活動に参加する者もいたり、また、ネット上で人権活動家が行う反戦の署名活動への賛同も多くみられている。
ロシア国内の各局テレビはプーチン政権の影響下にあり、これまで放送内ではロシアの快進撃のみを伝えるだけで、ウクライナでのロシア軍の犠牲者や被害らについて詳細に伝えられることはなかったが、ここにきてロシア国防省は27日に始めてロシア側でも犠牲者や負傷者らが出ていることに言及した。
しかし、その数は明かさなかったが、ウクライナ側と比べたら何倍も低いものとした。
そしてロシア国内では、26日からTwitterやFacebookなどソーシャルメディアの通信を通信当局によって制限をかけている。
ウクライナ側では27日、国防省がまとめた報告によると、ロシア軍死亡者数は「約4300人」としており、SNS上にはウクライナで撮影されたロシア兵の遺体や映像などが出回っているため、自軍の被害状況が社会に広く知られるのを阻止しようとしている可能性があるとしている。
そしてロシアではウクライナへの侵攻後にはロシアの通貨であるルーブルが急落した。
今後はさらに物価の高騰が懸念されるほか、ロシアの主要銀行などへの経済制裁により、ネットでの決済サービスが使用できなくなる事態にもなっている。
現金を引き出そうとする市民らが続出する動きに加え、ATMからの現金引き出しの際、紙幣がなくなってしまう事態にもなっていてる。
こういった事態が大きくなれば、生活に悪影響などで当然市民の不満も大きくなっていく。
リベラル系の野党指導者、ルイシコフ氏は取材に「ロシアにとってウクライナへ侵攻することは、国際社会でもロシア情勢にとっても悪影響で、壊滅的な展開、損害も大きい。さらにこのような状態が続き、長期化すれば、より経済的損害は拡大していき、反戦運動も大規模化していくだろう」と語った。
日銀が、ロシアSWIFT排除の影響などで協議
ウクライナ情勢の緊迫化を受け、日銀は財務省や金融庁などと国際金融市場への影響を話し合う会合を財務省内で開くことにし、財務官の神田真人氏、金融庁の中島淳一氏や日銀の内だ真一氏らが参加した。
日本を含む、欧米各国によりロシア一部の銀行をSWIFTという国際間の通貨の取引を禁止するという方針を出したため、今後の金融システムが混乱することなどが予測され、その対策などを話し合った。
神田財務官はロシアをSWIFTから排除することに関して、「実効的なものになるよう調整し、ロシアへの経済制裁についても最大のコストを科すよう、引き続き欧米ら国際社会との連携を緊密に連携を行い、適切に対応していく」と述べた。