侍ジャパンがWBC初戦快勝 大谷の二刀流で勢い付く
WBCワールドベースボールクラシックの東京プールが3月9日開幕し、日本代表は中国代表と対戦。
8-1で快勝した。
日本は1回に先制すると、4回には大谷翔平(エンゼルス)の適時二塁打で2点を追加。
終盤の大量得点で、2009年以来となる世界一に向けて好スタートを切った。

「大谷ルール」 投打で活躍
史上最強と称される今大会の日本代表。先発のマウンドに立ったのは大谷だった。
1回表の投球練習で速球を投げ込む度に東京ドームにどよめきが起きる。
自身初めてのWBCを戦う大谷は1回を三振、遊ゴロ、三ゴロの三者凡退で滑り出した。
日本は1回に先頭のラーズ・ヌートバー(カージナルス)が初球を中前に運んで出塁。
近藤健介(ソフトバンク)と大谷が四球を選んで無死満塁に。
続く4番村上宗隆(ヤクルト)は押し出し四球で先制点を挙げた。
4回には1死一、三塁で大谷。
低めの136キロのツーシームを捉えると、打球は左翼フェンスに直撃。
走者一掃の2点二塁打となった。
もう少し打球の角度が上がっていれば本塁打という当たりだった。
大谷は投げても4回で5奪三振、被安打1のほぼ完璧な内容。
65球の球数制限がある中、49球で抑えた。
吉井理人投手コーチは試合前の大谷を振り返り、
「ブルペンで1球もストライクが入ってなかったんで、大谷らしいところを久しぶりに見たなという感じです。
ブルペンはマウンドに上がるための調整なんで」。
3回を投げたら交代する予定だったというが、4回も投げて試合本番で力を発揮する大谷を称えた。
大谷はマウンドを降りてからも指名打者で試合に出続けた。
いわゆる「大谷ルール」と呼ばれ、大谷が投手と打者で出場できるようにルールが変更されたもの。
WBCでも大谷が二刀流の本領を発揮した。

無安打だった山田にタイムリー
試合は中盤まで3-1で進み、緊張感のある展開が続いていたが、7回に牧秀悟(DeNA)が逆方向の右翼席へソロ本塁打を放ち追加点。
8回には1死満塁で山田哲人(ヤクルト)が左前適時打を放った。
山田は大会前の強化試合ではまだヒットが出ていなかったが、国際大会に強い山田に一本が出た。
さらに押し出し四球と甲斐拓也(ソフトバンク)が2点適時打を放ち、この回一気に4点を追加。
試合が決まった。
投手陣も大谷、戸郷翔征(巨人)、湯浅京己(阪神)、伊藤大海(日本ハム)のリレーで1失点と、戸郷が浴びた一発以外は順調につないだ。

盛り上げ役の大谷「明日はダルビッシュさんなので」
栗山英樹監督は「やっぱり国際大会は難しいなという試合でした。
まずは勝ててよかった」とほっとした様子。
日本ハムを指揮していた頃からの愛弟子の大谷については
「プレッシャーがかかる中で二刀流でいく。
いろんな部分でさらにさらに前に進んでいる。
野球を楽しむのが彼の本質。
良かったなと思います」と語った。
大谷が率先して盛り上げ役に回っていることでチームの雰囲気も良い。
大谷は日系人で日本語が不慣れなヌートバーが溶け込めるようにサポートも欠かさない。
本来は鈴木誠也(カブス)もメンバーに入る予定だったが、左脇腹を痛めた影響で欠場となってしまった。
大谷と鈴木は同学年。
アメリカからチャーター機で一緒に帰国する予定だったが、それがかなわなくなり、大谷は鈴木から「ヌートバーをよろしく」と託されていた。
ベンチには鈴木の「51番」のユニフォームが掲げられ、鈴木もアメリカからインスタグラムに
「今日からこれ着てずっと応援します。
頑張れ侍ジャパン」とユニフォームを着た姿を投稿。
チームの結束を象徴している。
投打でフル稼働した大谷は中国戦のヒーローインタビューで翌日の韓国戦に向けて
「今日の勢いでそのまま試合につなげたい。
先発ダルビッシュさんなので」とまさかの予告先発。
「なんとか援護できるように頑張りたい」と打撃での活躍を誓った。
1次ラウンドの4連戦、大谷の二刀流と大量得点で侍ジャパンが勢い付いた。
