WBC侍ジャパン 佐々木が準決勝メキシコ戦先発へ

 WBCワールドベースボールクラシックで、日本代表侍ジャパンは3月21日午前8時から、メキシコ代表と準決勝を戦う。

栗山英樹監督は先発投手にロッテの佐々木朗希を起用することを明言。

「令和の怪物」が野球の母国アメリカで大一番に臨む。

もう一方の準決勝はアメリカがキューバを下し、決勝に進んだ。

先発投手に抜擢される佐々木朗希。
先発投手に抜擢される佐々木朗希。

佐々木「勢い背負いながら。しっかり抑えたい」

 栗山監督が準決勝のマウンドを託したのは21歳の右腕だった。

 「明日の先発は佐々木朗希です」。前日会見で、監督は期待を込めて言った。

 佐々木は1次ラウンドのチェコ戦に先発。

高校年代では代表経験はあるが、トップレベルでは初めての国際舞台だった。

それでも、3回と3分の2を投げて被安打2、8奪三振の好投。1失点はエラー絡みで自責点はゼロ。ほぼ完璧な内容だった。

 160キロ台のストレートを連発し、フォークも140キロ台でキレがあった。

ダルビッシュ有(パドレス)から教わったスライダーも実戦で試した。

 チェコ戦に登板した3月11日は東日本大震災から12年となった日。

岩手県陸前高田市出身で、津波で父と祖父母を亡くした佐々木は特別な思いを胸にマウンドに上がっていた。

 大船渡高校時代は甲子園の出場はならなかったが、プロのスカウトのスピードガンで球速が163キロを計測。

公式戦でも大谷翔平(エンゼルス)と並ぶ高校生史上最速タイの160キロを記録した。

 ダルビッシュも当時の佐々木を「自分なんかとはポテンシャルが違いすぎます」と絶賛。

「自分が高校の時は145キロぐらいでしたが、それを抜いて投げてしまいますからね笑」と力をそれほど入れなくてもスピードボールを投げられる才能をうらやむ逸材だった。

 2019年のドラフト会議で4球団が佐々木を1位指名し、抽選でロッテが交渉権を獲得した。

2021年にプロ初勝利を挙げ、2022年からは開幕ローテーション入り。

 4月10日のオリックス戦で、史上最年少で史上16人目となる完全試合を達成した。

この試合では1試合での19奪三振が日本プロ野球記録タイ。

プロ野球記録かつ世界記録となる13者連続奪三振の大記録も作り、ギネス世界記録にも認定された。

 ここまで順調に成長してきた怪物がメジャーリーガーも擁するメキシコに挑む。

日本からアメリカに移動し、18日にはブルペンで約30球を投げて調整。

「しっかり抑えたいと思います。もちろん不安とかもある」と心境を語っていた。

 メキシコ戦の前日には、「ここまでチームが一生懸命、戦ってきて、アメリカまで来られたのでその勢いだったり、そういうのを背負いながら、明日はいい形で投げられればと思います」と意気込みを語った。

大谷が所属するエンゼルスでコーチを務めるギル監督がメキシコチームを指揮する。
大谷が所属するエンゼルスでコーチを務めるギル監督がメキシコチームを指揮する。

メキシコは大谷の同僚が先発予定

 対戦するメキシコ代表は、1次ラウンドでアメリカを下して首位でプールCを通過。

チームを指揮するギル監督は、普段は大谷が所属するエンゼルスで内野コーチを務めている。

 日本戦に先発が予定されている左腕のサンドバルもエンゼルスで大谷の同僚。

191センチの大型左腕でスライダーやチェンジアップ、シンカーを駆使した緩急が持ち味。

2022年の対左打者の被打率が.151とメジャー屈指で、左の強打者が多い日本に当ててきたとみられる。

 「日本の選手たちはなかなか空振りをしない。

だからストライクゾーンにボールを投げ、あとは守ってもらいたい。

このチームに自信を持っているよ」と語り、仲の良い大谷については「ストライクを投げるつもりだから、あまり遠くまで飛ばさないでくれ」と笑った。

 打者にもナショナルズのメネセスや、レイズのアロサレーナといったメジャーリーガーがおり、キーマンになりそうだ。

栗山監督「世界中のファンに楽しんでもらいたい」
栗山監督「世界中のファンに楽しんでもらいたい」

栗山監督「世界中のファン、佐々木を楽しんで」

 準決勝に向けて、栗山監督は佐々木に

「日本が誇る本当に何人かの1人で、こういう場所でどんなピッチングをしてくれるのか。

こういうピッチングをして欲しい、じゃなくて、彼の持っているものを出してもらって、世界中のファンに楽しんでもらいたい」と思いを託した。

 佐々木の後ろには今永昇太(DeNA)や宮城大弥(オリックス)の第2先発陣が控え、山本由伸(オリックス)が準備する可能性もある。

 勝てば決勝は日本時間3月22日の午前8時から、アメリカとの対戦。

 佐々木には何も恐れず全力で、持っている力を披露してほしい。

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