WBC侍ジャパンが3大会ぶり世界一 MVP大谷が締めた

 WBCワールドベースボールクラシックは3月22日(現地時間21日)、アメリカフロリダ州マイアミのローンデポ・パークで決勝があり、日本代表がアメリカ代表を3-2で下し、2009年以来、3大会14年ぶりの優勝を果たした。

日本の世界一は2006年第1回大会、2009年第2回大会、2023年第5回大会で三度目。

日本は村上宗隆(ヤクルト)と岡本和真(巨人)の本塁打などで3得点を挙げ、最後は大谷翔平(エンゼルス)がクローザーとしてマウンドに上がり試合を締めた。

大谷は大会MVPに輝いた。

ありがとう!侍ジャパン!
ありがとう!侍ジャパン!

大谷対トラウト 最後に夢の対決

 「夢の対決」を大谷が制し、世界一をつかんだ。

 最後のアメリカの打者はトラウト。

大谷がエンゼルスで共に戦う、メジャーリーグMVP3度のスタープレーヤーだ。

 大谷の160キロの直球にトラウトのバットが2度、空を切る。

フルカウントから最後はスライダーで空振り三振。

大谷が両腕を大きく広げ、グラブと帽子を投げて叫ぶ。

マウンドに歓喜の輪が広がった。

 9回に大谷は先頭を四球で出したが、次打者を併殺で2死に。

「ワンアウト、ツーアウト取れば最後トラウトだなと思ったんですけど。

先頭出しちゃったので、あーこれ最後できないかなとは思って。

でもゲッツーになって、最高の形で迎えることができて、最高の結果になったので良かったと思います」と試合直後に振り返った。

 どちらに流れが傾いてもおかしくない接戦だった。

 2回表、アメリカはターナーが日本の先発今永昇太(DeNA)の直球をレフトスタンドへ運ぶ本塁打で先取点を挙げた。

 日本はその裏に村上が初球を捉えてライトスタンド2階への本塁打を放ち、すぐに追いつく。

「流れがアメリカペースだったので一点でも返そうと思って、その気持ちがいいホームランになりました」と村上。

 さらに1死満塁として、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)の一ゴロの間に2点目を加えた。

 日本は4回にも岡本がスライダーを左中間席に運ぶソロ本塁打。

前日の準決勝メキシコ戦では、スタンドに入りそうな打球をレフトフェンス際で好捕されていたが、この日はしっかりとスタンドに放り込んだ。

 投手陣も小刻みな継投で総動員。

先発で2回を投げた今永の後を、戸郷翔征(巨人)が2回、その後は髙橋宏斗(中日)、伊藤大海(日本ハム)、大勢(たいせい、巨人)が1回ずつを投げ、8回にはダルビッシュ有(パドレス)が救援。

 ダルビッシュは一発を浴びて1点差に迫られたが、9回に大谷のメジャーリーガーリレーで締めくくった。

普段は共にエンゼルスで戦う大谷とトラウト
普段は共にエンゼルスで戦う大谷とトラウト

史上最強の結束 ダルビッシュの献身 

 史上最強の呼び声通りに優勝を果たした日本は、その絆も史上最強だった。

 36歳で最年長のダルビッシュが宮崎合宿初日の2月17日から参加。

若手に変化球の握りを教えるなど、積極的にコミュニケーションをとり、食事会では野球談義が盛り上がり、チームの結束は強まって行った。

 3月に入って侍ジャパンでは初めて日系人で代表となったヌートバーが合流。

ヒットを打った時などに、胡椒をひく「ペッパーミル」パフォーマンスを始め、ベンチにも一体感が生まれた。

 鈴木誠也(カブス)と栗林良吏(広島)が怪我で離脱となったが、彼らのユニフォームがベンチに掲げられ、気持ちは最後まで一緒に戦っていた。

 一丸となった侍ジャパンは、3月9日の中国戦を8-1、10日の韓国戦を13-4、11日のチェコ戦を10-2、12日のオーストラリア戦を7-1の4連勝で1次ラウンドを首位通過。

16日の準々決勝イタリア戦は9-3、21日の準決勝メキシコ戦は6-5で逆転サヨナラ勝ち。

そして決勝アメリカ戦が3-2と7連勝で頂点まで駆け上がった。

最年長になるダルビッシュがチームが一体となるよう導いてきた
最年長になるダルビッシュがチームが一体となるよう導いてきた

大谷が「三刀流」でMVPに 

 大会MVPを受賞した大谷は先発投手、打者、そして最後はクローザーと「三刀流」の異次元の活躍。

ユニフォームに土をつけながら常に全力でプレーし、まさに世界最強の野球小僧になった。

 大谷は「夢見ていたところなので本当にうれしいです。

正直、終わってしまうのが寂しい気持ちはありますし、みんな同じじゃないかなと思います。

またそれぞれのチームに帰って、寂しいですけどがんばりたいと思います」と最高の仲間と野球ができた気持ちを語った。

 日本ハム時代に二刀流を始めさせてくれた恩師の栗山英樹監督を胴上げし、

「全員が自分たちの仕事をして、粘り強く最後の最後まで諦めず、監督を優勝させることができて良かったです」と大谷。

 粘り強く、繊細な日本らしい野球で、世界一を奪還した。

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