WBC優勝の栗山監督が栗山町に凱旋 予定外の始球式も
WBCワールドベースボールクラシックで2009年以来の優勝を果たした日本代表「侍ジャパン」の栗山英樹監督が3月30日、自宅のある北海道栗山町に凱旋した。
町民からの祝福を受け、「ゆっくりするのはまだまだ先。これから次の夢に向かって全力で走りださないといけない」と語り、今大会で監督は退く考えもある中で続投に含みも持たせた。
次期監督候補には、工藤公康氏や古田敦也氏らの名前も噂されている。

「ジャージーと長靴は永遠に不滅です」
栗山監督は普段着のジャージーと長靴姿、自家用の軽トラックを運転して町役場に到着。
200人以上の町民が出迎え、監督はステージに上がると「ただいま帰りました」と帰郷のあいさつをした。
決勝を戦った後、23日午後に帰国し、記者会見などのメディア対応を慌ただしくこなしてきた。
28日に栗山町に戻り、「時差で全然寝られなくて。こっちに帰ってきてやっと寝られた。すごい力ですね、栗山町の力は」と落ち着けたことを報告。
町役場は栗山監督の凱旋パレードを計画し、町で2人目となる町民栄誉賞を贈呈する方向で進めている。
栗山監督は名前が同じ栗山という縁で、1999年に町の観光大使を任された。
栗山町へは札幌市から車で東へ約1時間。
東京出身だが、このつながりをきっかけに栗山町に家も構え、2002年には私費を投じて野球場を備えた「栗の樹ファーム」を開いた。
そして、2012年からは日本ハムの監督を務めた。
「栗山町に住んでなければ、ファイターズの監督もなかったし、ジャパンの監督もなかった。
これからは1つ1つ丁寧に恩返しをしていきたい。
ジャージーと長靴は永遠に不滅です」と感謝を述べた。

「絶対投げない」って言ったのに始球式
栗山監督は町役場でのセレモニーを終えると、日本ハムー楽天の開幕戦に向かった。
北海道北広島市に新たに建設された「エスコンフィールド北海道」で初めて行われた試合。
これまでの日本にはない斬新なデザインの新球場に約3万1000人が詰めかけた。
始球式では、ピッチャーがトレイ・ヒルマン氏、キャッチャーは梨田昌孝氏、バッターは栗山監督と、かつて日本ハムの監督を務めた豪華な顔ぶれがアナウンスされた。
しかし、マウンドに立ったヒルマン氏が胸の前で「T」の文字を作り、タイムを要求。
バッターボックスに歩み寄り、栗山監督に「投げろ」とボールを手渡した。
ヒルマン氏がキャッチャーとなり、梨田氏がバッターに急遽変更。
ヒルマン氏の粋な計らいで栗山監督がマウンドに上がった。
スーツ姿でゆったりと投じたボールは山なりで梨田氏の頭上を越え、ヒルマン氏のミットに。
ヒルマン氏がガッツポーズを見せると梨田氏もサムズアップ。
3人は笑顔で握手を交わし、記念写真に収まった。
栗山監督は事前に「僕らはヒルマンさんのおかげで今があるので。
だから僕は絶対投げませんよって何度も言いました。
絶対投げないですからねって」と伝えていたという。
ところが本番で急にボールを渡され、「先輩の流れですから、ああなったらね。ええ!?みたいな」と断ることはできなかった。
新球場については「メジャーの球場をいくつも見たけど、間違いなく世界一の球場だと思う。
ここが起点となって日本の球場がどんどん変わっていくはず」と語った。

栗山監督が続投? それとも工藤氏?古田氏?
日本代表で任期をまっとうした栗山監督は次期監督について「もし、やってくれと言われたら、もちろん考えますけど」と語っている。
大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(パドレス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)らを招集できたのは栗山監督の存在が大きかった。
一方で栗山監督のほかには、元ソフトバンク監督で5度の日本一を達成した工藤公康氏、元ヤクルト監督でMLBダイヤモンドバックスの臨時コーチも務めた古田敦也氏らが候補に挙がる。
栗山監督の続投を希望する声も多いだけに、次期監督が誰になるのか注目される。
