WBC ソフトバンクの牧原を追加招集へ 鈴木誠也の代役
WBCワールドベースボールクラシックの日本代表で、左脇腹の張りを訴えて出場を辞退したカブスの鈴木誠也外野手の代役として、ソフトバンクの牧原大成(たいせい)外野手が追加招集されることが濃厚になった。
攻守の柱が抜ける緊急事態に、白羽の矢が立ったのは守備力に定評があり、内外野をほぼ全て守れるユーティリティープレーヤーだった。

内外野守れる俊足
牧原は福岡県出身の30歳。
172センチ、73キロの右投げ、左打ち。
熊本の城北高校から、2010年のドラフト会議でソフトバンクの育成5位で指名を受けて入団した。
50メートル走は5秒台の俊足。
二塁手を中心にプロ入り後は投手と捕手以外のほぼ全てのポジションを経験。
2014年に二軍で打率.374を記録し、ウエスタンリーグの首位打者に。
4年目の2015年には初めての開幕一軍入り。
この年は代走や守備固めで43試合に出場した。
その後は一軍と二軍を行ったり来たりする年が続いたが、2019年のクライマックスシリーズで、西武とのファイナルシリーズ第3戦で十亀から2点本塁打。
巨人との日本シリーズでは第1戦で田口から2点適時打を放つなど、プチブレイクした。
2022年は12年目でキャリアハイの120試合出場、123安打、4本塁打、42打点の記録を残した。
打率も.301で3割超え。
自身初のオールスターゲームにも出場した。

鈴木は「しっかり試合見て応援したい」
元々選ばれていた鈴木は2月25日のフリー打撃中に左脇腹に痛みを感じ、練習を途中で切り上げた。
検査の結果、「左脇腹腹斜筋の中等の損傷」という診断を受けてWBCの出場は辞退。
鈴木は栗山英樹監督に「ほんとにすみません」と連絡をとったといい、
「久しぶりに日本で日本のファンのみなさんの前でやれるチャンスがあったんで、すごく楽しみにしていたんですけど、こういう形で離脱となってしまったのはすごく申し訳ないですし、楽しみにしてくれていたファンの皆様にすごく申し訳ない気持ちでいっぱい」と話し、
共に戦うはずだった仲間については「他の選手たちは頑張ってますし、応援したいなという気持ちは強いです。
しっかり試合は見て応援したいなと思います」と語った。
代役の選手に対しても「ホントに急に、ここにきてから急になってしまって頑張ってくださいとしか言いようがない」とエールを送った。

メジャー組の出場は6日から 9日に中国と初戦
鈴木は右翼で、打線でも中軸を担うとみられていただけに離脱の影響は大きい。
鈴木は前回の2017年のWBCを経験しており、19年のプレミア12、21年の東京オリンピックでは4番を務めた。
2016年からは6年連続でベストナインに選ばれ、2021年は打率.317で首位打者と、最高出塁率.433のタイトルを獲得し、自己最多の38本塁打を放った。
メジャー1年目の2022年は111試合で打率.262、104安打、14本塁打の成績を残していた。
鈴木の離脱で外野は右翼にカージナルスのラーズ・ヌートバーが入ると予想される。
中堅にはソフトバンクの近藤健介、左翼にはレッドソックスの吉田正尚となりそうだ。
状況によっては巨人の岡本和真が外野に回るかもしれない。
牧原やソフトバンクの周東佑京は代走や守備固めで起用される可能性が高い。
手薄だった外野手で怪我人が出てしまったため、内外野を守れる牧野の存在は貴重だ。
メジャー組は大谷翔平とヌートバーが3月3日から合流予定で、吉田は4日から参加できる見通し。
ただ、メジャーリーガーは対外試合の出場が6日からと制限されているため、3、4日の強化試合の中日戦は出場できない。
出られるのは6日の強化試合の阪神戦から。
日本代表は9日に初戦の中国戦を迎える。残された時間は少ないが、急ピッチでチーム作りを進めていく。
