社会・文化

ついに24年ぶりの円買い介入!

米を意識しながら「時間かせぎ戦法」いつまで?

政府と日銀は22日、ついに急激に進む円安に歯止めをかけるための「為替介入」に踏み切った。

weaker yen

21日アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が、大幅な利上げを続ける方針を発表した。

一方、日銀は22日まで開いた金融政策決定会合で金融緩和の継続を決めた。

これらのことから今後も日米の金利差が開くと予測し、金利の高いドルを買う動きが強まったことで、一時24年ぶりとなる1ドル=145円まで進んだ。

今年の3月までは1ドル=115円だったが、半年で30円程度も円安が進んだことになる。

今年はロシアによるウクライナ侵攻で、原油や天然ガスの価格が上昇した。

それに加えて進む円安により、日本の企業や家計に打撃を与えると懸念し、「断固たる措置」に踏み切ったとみられる。

時間かせぎ戦法

発表後円高へ、一時145円から140円台

為替介入の発表があった数時間後、一気に1ドル=140円台まで円高方向に進んだ。

この後開かれた記者会見で鈴木俊一財務相は「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごせることではない」と、介入した理由を述べた。

その後「引き続き、為替動向を高い緊張感を持って注視し、過度な変動に対しては必要な対応を取りたい」と、今後も動向次第では介入する可能性を示した。

一時145円から140円台

なぜ介入のタイミングが「この日」だったのか

22日は重要な日で、日米が金融政策を決める会議が行われる日だった。

22日アメリカのFRBは年末の金利が4.4%になると予測を出した。

今より1%さらに利上げする可能性を示し、市場がざわめいた。

金融引き締めの真っ只中にあるアメリカ。

ドル高は輸入価格を下げてインフレを抑える効果があるため、日本の「ドル売り」介入に並ぶのは難しかった様子。

一方、日銀は「当面、金利は上げない」と発表。

「数カ月の話ではなく2、3年」と発言したことで、さらに金利差が意識された。

黒田総裁の会見中に146円台に向かったが、加速すると止まりにくいのが為替相場だ。

23日から連休で投資家も減るため、このタイミングで一旦流れを止めたかったと思われる。

介入にいくら使うのかもポイントだ。日本が持っているドルは、1兆3000億ドル=約180兆円。

外国為替市場の取引は、1日で約54兆円で、4日間分にも達しない。

市場が日本政府の介入が尽きたと見なせば、アメリカが利上げを続ける中で、逆に円が売られる可能性もある。

円安がさらに進めば、輸入品の価格が上がり、日本の家計は今以上に苦しくなる。

「ドル売り」介入

円安にならないための方法は?「時間かせぎ戦法」か?

日米の金利差を縮めるのが根本。

そのために日本が利上げをするのか、アメリカが利下げをするのか。

日本が利上げをしないのは、住宅ローンを借りている人や、借金をしてビジネスをしている企業の負担を考えてだ。

一方アメリカは景気が悪くなってきたときに、利下げをすれば金利差が縮まる。

しかし、それがいつ来るのか見通しが立たない。そのタイミングを見つつ、円安になれば為替介入をしながら凌ぐ「時間かせぎ戦法」になりそうだ。

アメリカが利下げ

前回「ドル売り円買い」した行方は?

前回は24年前、1ドル=140円台まで下落した1998年6月。

3兆円近いドル売りの結果、その2ヶ月後まで円安が進み147円まで達した。

その後ドル売りが反映され、円高状態が続き1999年には101円へ。

その後も5年毎に円安相場は訪れていた。

財務省の神田財務官は今後について、日米の金利差が開いている構図は変わらず、円安が進みやすい状況は続くのではないかと述べた。

円安にならないための方法は

「疑心暗鬼」今回の介入に対して様々な意見

「これによって歯止めがかかることを期待したいが、まずは今後の為替市場の動向を注視する」(政府関係者より)

「アメリカが利上げをしているのに対し、日本は金融緩和を止めていない。そうした背景がある以上、今度の介入に効果があるかどうか、疑心暗鬼だ。G7の理解を得て正常な形に相場を戻していくのが介入のあるべき姿だ」(立民 安住国対委員長)

「早い段階で、これ以上の円安にしないという意思を示すべきだったし、かなり遅いと感じる。金融政策の選択肢が絞られ、袋小路に入っており、日銀のもとで金融政策の内容を検証することが必要」(国民 古川国対委員長)

効果は限定的との見方が強いが、それでも必要だったと意見も様々だ。金利差を背景に「円安・ドル高」になりやすい構造は変わらない。「ドル売り円買い」は手持ちのドルを売る必要があり、大きな介入を繰り返すのは厳しい。

今後もタイミングと効率が重要になる。

そして日銀だけではなく、政府の円安止め対応もどうするのか。「中央銀行の独立性」を理由に、金融政策の責任を日銀に任せるばかりではないだろう。

円安を誘導した今の金融緩和は、アベノミクスの柱とされていた。

日銀は安倍氏の下で2%目標を明記し、岸田首相も引き継いだ。

政府がどのように金融政策の責任を果たしていくのか注目だ。

三越屋海外商品

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。