この季節だからこそ発症しやすい!!夏と違う冬のうつにご注意を
この頃、また一段と冬の寒さが厳しさを増し、体調管理にも十分に気を付けなければならない季節になりましたが、同時によくこの季節になると気力が湧いてこなかったり、どんなに寝ても眠気がとれなかったり、または過食気味になったりと、これまでとは違った心身の変化が現れやすくなります。
夏とは違い、日光を浴びる機会が減ることもあるし、コロナウイルスによる影響により自宅に巣篭る習慣がますます生活環境を悪化させていく原因にもなっているので注意が必要です。
ある20代の会社員の女性は大学生時代、10月から真冬のシーズンにかけて、頭が朦朧として上手く考えることができなかった時が多かったと語っています。
十分に寝たと思っても、お昼ごろにはまた強い眠気に襲われ、いったん寝ると自力でなかなか起き上がれないこともあり、目覚まし時計にも手を伸ばすことができないほどだったといいます。
そして、食欲の方もダメだということは分かっていても白米などの炭水化物を食べ過ぎてしまい、一人で一晩3合もの米を空かすこともあったという。
この冬の季節に起きやすい、うつ病については季節性感情障害とも呼ばれており、気分の落ち込みや意欲低下などについては通常のうつ病と同じ症状だとされるが、睡眠や食欲真逆の症状になり、寝すぎたり食べ過ぎることがよくある。
今回この女性も夏は普段通りに生活できていたが、冬になると冬眠をしているかのような状態になっていたと話した。
大学卒業後、心療内科のクリニックを受診し、この時期に発症するうつ、いわゆる冬季性のうつ病だと診断された。
この女性は学生時代からストレスを抱えながら生活を続け、冬にはあまり外に出る機会がなかったことから、うつ病を発症した。
冬季性のうつ病については、この女性のように比較的、男性よりも女性の方が発症しやすいとされている。
冬にかかるうつ病については、北欧などの高緯度で冬の日照時間が短い地域でかかることが多く、日本国内においても日照時間が短いとされる日本海側の地域で発症する人が多いとされるデータもある。
国立精神神経医療研究センターで睡眠や覚醒障害の研究をされている栗山健一部長は、日光を浴びる機会が減ることで起こるセロトニン分泌の減少によって気分や意欲などが減少してしまうと訴えている。
そもそも、このセロトニンというのは脳内にある神経伝達物質のことを指し、精神の安定から頭の働きまで大事な機能を果たすので、外に出ずに部屋にこもったり、日照時間が短かったりしてしまうとセロトニンの分泌が進まずに、眠気も強まってしまうという。
この症状はさらに、分泌不足を補うために炭水化物を欲しやすくなり、食生活も乱れやすくなるので、この状態でストレスがかかると仕事はもちろん、家庭生活にも大きな影響が出るとされる。
この状態から回復するには、きちんと外に出て十分な日光を普段から浴び続ける生活習慣を築くことが必要であると述べます。
朝はカーテンを開けて日光を浴び、室内でも専用の照明器具の光を浴びる高照度光療法によってセロトニンの分泌につながるとされ、最近では市販でもこういった療法向けの器具が販売されているようです。
そして加えて必要なことは、適度に運動をすることとし、ウォーキングやランニングなど定期的に有酸素運動を取り入れます。
そうすることで自然と生活リズムも整っていき、すぐに眠くなったりする症状も緩和されていきます。
日光を浴び、適度な運動をすることは大事なのですが、食事も日頃からタンパク質の多い肉や魚、乳製品などをバランスよく摂ることでセロトニンの生成に役立つ「トリプトファン」というアミノ酸を取り入れるようにすればさらに効果は上がる。
コロナによって外出がしづらくなったことで、いつのまにかうつの症状が出ているかもしれないので、日頃からこれらのころを意識して生活を送れると良いでしょう。
トリプトファン
このトリプトファンというのはアミノ酸のひとつであり、食事による栄養分として取り入れる必要がある、人の体を形成するのに必須な大切な成分です。
トリプトファンは主に乳製品を始め、大豆製品、ナッツ類など様々な食品のタンパク質に含まれており、興奮状態を抑え、精神を安定させるなどの鎮痛作用を持つ神経伝達物質の原料として不眠の解消に繋がったり、アンチエイジング、集中、記憶力のアップなどのあらゆる効能を発揮します。
さらにトリプトファンを多く含む食材には、牛や豚、鶏のレバー、バナナ、かつおやまぐろなどがあり、前述した食品に加え、これらを普段の食生活で取り入れると不眠やうつ病などの解消に繋がります。
しかし過剰摂取してしまうと、肝臓で脂肪の変化が起こり、肝硬変を招くことになりますので注意するようにしましょう。
肝硬変になり、継続的に摂取し続けてしまうと脳内にトリプトファンは増え、セロトニンの過剰分泌による脳機能の低下、昏睡状態に陥ってしまう恐れがあります。