【戦争準備】習近平氏、軍の海外派遣整備を急ぐ 国際情勢緊迫で
新華社通信によれば、中国軍トップの習近平国家主席は7日、全人代の軍と武装警察の分科会に出席し、「海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速」を指示したとした。
まだ具体的な詳細は明らかにされていないが中国軍を海外に派遣し、活動させるための法的根拠の整備を行う意向だ。
習近平氏は中央軍事主席に就任して以降、軍内部における汚職の摘発に徹底して取り組んできた。
また、7日に行われた分科会でも、こういった取り組みを「法に基づく軍の統治の実践で重大な進展があった」と評価、さらには「国防や軍の建設の法治化水準を高めていく必要がある」と述べ、軍の引き締め強化を図るよう発した。
そして、ロシアのウクライナ侵攻が現在起きている緊迫した国際情勢を念頭に、「全軍が戦争準備をしっかりと進め、突発状況にも有効に対処し、国家の安全と安定を維持する必要がある」とした。
中国「台湾上陸」作戦が最終段階へ
中国軍の台湾への武力侵攻に向けた作戦準備は事実上、最終的な段階として上陸作戦を実施する際に不可欠な配備増強が注視されているという。
また一方で、台湾の独立に向けたう動きが強まった際には、一部の都市や離島などに空爆らによる限定攻撃を行うとみられている。
国防部の報告書によれば、中国軍による侵攻が始まれば、まずは演習の名目として軍の結集から始まり、台湾の重要な防空陣地やレーダー、指揮所などをミサイルによって破壊し、サイバー攻撃による主力部隊の機能停止を狙うなど、制海や制空権の確保に入るとみている。
また、部隊を西太平洋沿岸部に集中させることで米軍らの介入に備えながら、台湾を戦略的に包囲していく流れと想定されている。
その他、サイバー攻撃やミサイル攻撃などの整備も強化し、盤石な軍事力を誇る中国だが、習近平政権も武力統一に向けた備えを進める一方で、中台統一はあくまで「平和統一」が優先であるとの立場は崩してはいないようだ。
しかし、中国軍関係者は「平和統一が最優先でも、独立の動きには容赦しない」と語り、24年の台湾総統選で独立を掲げる新総統が誕生するなどした際には、習近平政権は「微罰」的行動をとるとの観測も強まっているとしている。
そして、陸海空とミサイル能力の強化を図ってきて強力な軍事体制を整えている中国軍による台湾制圧に向けた演習が本島で限定的に行われる可能性があるとした。
台湾軍、有事に備え訓練強化
ロシアがウクライナ侵攻を続ける中、台湾でも中国による台湾侵攻に備え、軍事体制をより一層強化する意向を示した。
台湾は陸海空と今月、3月から本格的な軍事訓練を実施し、有事の際に動員される予備役の訓練期間も倍に延長するとした。
地元メディアによると、海軍と空軍は台湾の東、南部での合同訓練を行い、航空機の低空訓練や海軍との連携の確認などを行った。
一方、陸軍は金門島などの離島や、新竹市周辺で火放射撃などの訓練を実施するとした。
軍の高官は「ロシアのウクライナ侵攻を打受け、わが国でも周辺国の侵攻に備え、警戒を強化している。地域のあらゆる情勢の変化にも対応できるよう、訓練を続けていく」と語った、また、国防省に相当する台湾の国防部は有事の際に動員する予備役の戦力強化のため、訓練期間を延長した。
昨年末に決まったものだが、最初の招集日がウクライナ侵攻が始まった後の5日だったため、メディアでは大きく取り上げられた。
招集のために家族と別れた30代の男性は地元テレビの取材に対し、「自分の故郷を自分で守らなければならない」と述べた。
台湾ではこれまで有事の際、アメリカの支援対し高い期待を持っていたが、今回ロシアのウクライナ侵攻を受け、アメリカやNATOなどが軍を出さなかったことから、「自衛の決断と能力を持つ重要性」が繰り返し強調されるようになった。
日本にも迫るロシアと中国
ウクライナに侵攻したロシア軍は近年、日本周辺でも不穏な活動や挑発を頻繁に行っており、さらには中国との歩調を合わせるような動きもしており、自衛隊は警戒態勢を敷いている。
今回、起きたロシアによるウクライナ侵攻を受け、岸防衛相は「アジアを含めた国際秩序を揺るがす行為で断じて許されないことであり、国際法違反だ」と強く非難し、「我が国での安全保障の点でも決して看過できない」とした。
ロシア軍の動きについては、ウクライナ侵攻が始まる前にも日本周辺では確認されており、2月の初旬から中旬にかけ、北海道近辺の日本海とオホーツク海の南部で、ロシア艦隊が24隻ほど航行していた。
軍事演習の一環ともみられ、潜水艦やミサイル観測支援艦も含まれていた。
また、ミサイル発射の訓練が行われた可能性もあるとみている。