「大人の都合や所得で子どもを分断すべきでない」と一律10万円給付の意義
「18歳以下の子供に対し一律10万円相当の給付」を衆院選での公約に掲げている公明党の山口代表は改めて一律給付の意義を「大人の所得で子供を分断すべきでない」として給付には所得制限を設けないと述べた。
公明党が公約としている「18歳以下への一律10万円相当の給付」について、自民・公明両党の幹事長による協議の焦点となっている。
「報道ランナー」の番組に出演した山口代表は「コロナの影響で昨年、不登校や自殺をした子供の数が過去最多となった。
食費や通信費もかさむ中、そういった子供たちを社会全体で応援していくメッセージを届ける必要があるとして提案した」と語り、所得制限に対しても「大人の所得や大人の都合で子供を分断すべきではない」と強調した。
また、「18歳を超えた大学生の方がお金がかかるため、生活に困窮している大学生を支援すべきではないのか」との指摘については「大学生の方がお金がかかるというのはもっともだが、一方で大学生はアルバイトや奨学金の利用ができる人のいるので、高校生以下の世代と比べると違う」と述べた。
そして、大学生以上の世代でも生活が困窮したり、学業維持が難しい人の困窮に着目した支援は別途提案して考えるとした。
この山口代表の発言に対して8日、タレントである石原良純さんはテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で次のように疑問を呈した。
「山口さんの子どもの分断につながるという発言で「子どもの分断」というのは何を意味しているんですか。
お金をもらっている人と、もらっていない子供同士がもめるということなのか?何を言っているのかわからない」
その石原さんの疑問に政治ジャーナリストの田崎史郎氏が「親の年収によって区別がつけられる。それによってもらえる子どもと、もらえない子どもがでる・・」と返そうとすると、石原さんは再度「そうすると、お前はもらったの。お前の家は貧乏だなという話になるということを意味しているの?」と質問した。
それに対し田崎氏は「そういうことを言わんとされているのではないかと思いますけどね」と返答していた。
ネットユーザー、世間からの反応
「一律給付の考え方に異論はないのですが、もし、低所得者向けのことを考えると健康保険料などを6か月無料にするなど、入ってくるのもうれしいが、出る方を抑えてもらった方が良いと思う」
「軽自動車税の増税が検討されていると聞きました。こういうバラマキによって他の税金があがる理由を付けられていきます。
保護もいいですけれど、出費を抑えて減税になる方法を考えてもらいたい。ガソリン税がなくなれば、もっと世の中のコストは抑えられて活性化すると思う」
他にも「分断すべきではないと思うけど子あり、子なし、18歳以下それ以上の段階で分断されている」
「だったら、子どもがいる、いない。ほしくても授かれない。DVで受け取れないなどの分断もすべきでない」
「大人の都合をゴリ押ししているのは山口代表ではないのか?」という意見もあった。
また、日本維新の会代表、大阪市長の松井一郎氏は「根本から違うと思うし、コロナで苦しいのは子どもがいる家庭も、いない家庭も同じだ」と批判した。
その上で、「大阪市では2019年と2020年の所得を比較できる状況になっている」と説明し、一律に給付するのではなく、所得が減った家庭に給付すべきと主張。
「財源を市町村に渡し、権限と責任を持たせて(支援策を)やるべき」と述べた。
さらに、元大阪市長であり弁護士である橋本徹は「天下の愚策」、「どう考えてもおかしいでしょう」と切り捨てた。
「給付の目的が困窮者の救援の目的であれば理解できるが、経済政策であればもっと全体的に全国の国民を対象に行わなくてはいけないし、少子化対策であれば10万円の給付でなく、中長期的に違う施策をやらないといけない」と目的を明確にする必要があると指摘した。
また「ここでやる目的、本来は困窮者救済目的ですよ」とも述べると、「まずは一律に配り、後で税金で回収する」
「先に配って後で回収するやり方」との考えを示し「いずれにせよ困窮者救済目的ならわかるが、なぜ18歳以下の子どものところに所得制限なしなのか」「納税者として、こういうお金の使い方をされるのは腹立たしい」と怒りをにじませていた。
この現金10万円、一律給付については岸田政権初の大型経済政策であり、まだその対象や額については決まっていないが、公明党が衆院選の公約として掲げたのは、18歳以下の子ども約2000万人を対象に所得制限を設けないとした。
公明党の案では「未来応援給付金」と称し、所得制限なしに一律現金10万円を18歳以下の子どもに給付するうえ、マイナンバーカードを保有している全国民を対象に、買い物などで使える3万円相当のポイントを付与する施策だ。