吉良よし子氏「自由と民主主義を何よりも大切にするのが共産主義の社会」
衆院選の選挙戦が続く中、日本共産党の吉良よし子・常任幹部会員がこれまでの党の政策について振り返るとともに今後の政策やビジョンについて語った。
日本共産党が掲げていた公約は主に「賃金格差是正公約」である。
企業に男女別平均賃金の公表や格差是正計画の策定および公表の義務付け、介護・福祉・保育などのケア労働の賃金引上げ、非正規から正社員へ労働条件改善と均等待遇、女性さ絶を横行させる間接差別をなくすなどがあった。
その上で吉良氏は4年間を振り返り、平和主義、戦争放棄を構成する「憲法9条を守り抜くということができたこと、少人数学級の実現やブラック企業の規制などいくつか実現できたことがある」と話した。
そして今回の衆院選では地球と若者の未来を守るため頑張るとし、「学費の半額や最低賃金2500円、選択的夫婦別姓、ジェンダー平等、気候危機の打開」などを掲げた。
「コロナ禍では検査の抑制や自宅療養などで助けられたはずの命を失い、補償もまともにない中、多くの飲食店などが追い詰められ、潰れていったお店もたくさん出た。自己責任を押し付けている自民党・公明党の政治を変えるために、日本共産党は戦い、弱い立場にいる人たちの助けになるため多くの活動に取り組んだ」

吉良氏が訴える「ジェンダー平等」について
特に今回強く訴えたいと語るのは、選択的夫婦別姓・同性婚、痴漢ゼロ、賃金の男女格差の是正など、ジェンダー平等についてと語る。
痴漢ゼロについては政治的な問題として解決可能なのかと問われていたが、実際に痴漢に遭った人が初めて受けたのは18歳以下だったと答えた人が7割もいた。
そのため、これは子供に対する性暴力、性犯罪として政治の力で無くさなければならず、痴漢ゼロを目指しメッセージを発していかなければならないという。
また、現代の日本では男女の賃金格差はとても大きく、生涯賃金レベルでは1億円もの差があると言われている。
この問題には女性の方が男性よりも多く、非正規雇用で働いている人がおり、それらが賃金格差に繋がっている。
さらには独身女性であれば老後には生活保護レベル以下の貧困に陥ったり、DV被害の温床にもなるなど大きな社会問題としてある。
同一労働や同一賃金、最低時給も時給1500円以上を目指し、男女共に働きやすい社会の実現を目指していきたいと語る。
女性は出産や子育てなどがあるため、仕事と家庭を両立できるよう、長時間労働をなくし男性も女性も8時間働いたら、家に帰り家庭の時間をしっかり持つことで、より働きやすい社会になると思う。
これに対し、慶応義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「女性が産休や育休を取ると終身雇用があるため、不利になる。
しかし、終身雇用を無くしてより自由にしようとすれば、反対に雇用の安定がなくなることに繋がるため、それらをいかにバランスしていくことで、資本主義を超えた共産主義の理想の形をみてみたい」と語った。
一方で共産党が公約として掲げる女性とジェンダー・暴力根絶、分化・表現の自由に「児童ポルノ規制」に関する話題で主張に矛盾はないのかという質問でた。
それは、児童ポルノの定義を「児童性虐待、性的搾取描写物」とし、性虐待や性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子供を守るとしているが、一方で「児童ポルノ規制」を名目にした漫画やアニメなどへの法的規制の動きに反対するというものだ。
それに対し吉良氏は「矛盾はなく、ジェンダー政策で指摘しているのは子供に対する性暴力は絶対に許さないということで、児童ポルノも子供への性暴力という観点から絶対に許されることではない」としている。
その上で、表現の自由については守り「児童ポルノ」と使った表現は容認している。
共産主義が目指す社会とは

資本主義の象徴ともいえる競争社会、弱肉強食の社会では競争に負けた者だけが辛い社会になるだけでなく、競争に勝ち続けた末に、勝ち続けていかなくてはならないという思い込みやそこから落ちてはならないというプレッシャーが常につきまとう者もいる。
競争社会は競争に負けた人のみならず、勝ち続ける人の辛さも生む問題もはらんでおり、日本共産党が発する「弱肉強食でいいのか」というメッセージもあるように、競争社会であり弱肉強食の社会の中で勝ち組として声を大きくしている者と戦う対立構造ではなく、そこにアプローチしていくことが必要であるとしている。
吉良氏は勝った人達が悪いというわけでなく、儲けられず困窮してしまっている人や一度社会のレールから外れて立ち直れないくらい貧困に陥っている人が出るくらいに、弱肉強食の社会になってしまっている。
そのような状況をつくっている政治姿勢、政治そのもののシステムを変えていき、弱者にも措置を講じていく必要があると述べた。