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菊池雄星がMLB日本人トップの6勝 好調の要因は?

 野球のメジャーリーグ、トロント・ブルージェイズの菊池雄星が現地6月4日に行われたニューヨーク・メッツ戦に先発。

5回を投げて被安打4、2失点の内容で勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りたが、救援陣が打たれて今季7勝目とはならなかった。

それでも、今季は日本人投手の中ではトップの6勝を挙げており、好調を維持している。

7勝目ならずも千賀との投げ合いで貫禄

 4日のメッツ戦は千賀滉大と、日本人投手同士の投げ合いとなった。

 試合はブルージェイズが2回に2点を先制。

3回にも本塁打などで2点を加え、菊池を援護した。

菊池は1回に2三振、2回にも2三振を奪う上々の立ち上がり。

3回と5回にそれぞれソロ本塁打を打たれて2点を失ったが、5回89球で被安打4、8奪三振、与四球1と、リードした状況で降板した。

 しかし、菊池の後を投げたネート・ピアソンが6回に2本の本塁打を浴びて4-4の同点に。

菊池の勝ち投手の権利が消えてしまった。

 ブルージェイズは直後の7回にブランドン・ベルトが2点本塁打を放ち、これが決勝打。

ブルージェイズが6-4で勝利し、4連勝を飾った。

 メッツの千賀は2回3分の2で降板。

68球を投げて被安打4、3奪三振、与四球5で4失点とやや荒れた投球内容だった。

千賀に負けはつかず、今季はここまで5勝3敗。

スライダーで空振り奪う「今季最高の投球」

 MLB公式サイトは菊池の投球を絶賛した。

「千賀とメジャーで初めて対戦し、圧倒。今季の中でも最高の投球を披露した」と伝えている。

 「5イニングを通して19の空振りも奪った。シーズン最高、キャリアハイの記録まであと一つに迫っていた」と加え、

「そのうち11球がスライダーだった。スライダーの平均球速は88.7マイル(約142.7キロ)でシーズン平均よりは遅かったが、スピンレートなどの数値は上がっており、菊池の武器がより効果的になっていることを示していた」と解説した。

 シュナイダー監督も「今日は全体的に非常に良いボールを投げていたと思う。多くの空振りを奪い、変化球もポイントだった」と菊池の投球を称えた。

プロ通算100勝を達成「メジャーに来て一番いい形」

 菊池にとって、現地5月30日にあったミルウォーキー・ブリュワーズ戦で挙げた今季6勝目は、NPBでの73勝と合わせて、日米通算100勝の節目の勝利だった。

 岩手県盛岡市出身で、花巻東高校時代には1年生の時から全国高校野球選手権で夏の甲子園を経験。

3年春の選抜大会では準優勝し、3年夏の全国選手権は4強入りした。

高校時代から150キロ台のストレートを投げ、右打者の内角をえぐるクロスファイヤーは左腕菊池の代名詞でもある。

 MLB球団からも注目され、ドラフト会議では6球団から一巡目で指名を受けて、抽選の結果、西武が交渉権を獲得して入団した。

 2011年の西武入団後は浮き沈みを繰り返し、プロ6年目の2016年に12勝で初めて二桁勝利を達成。

2017年には16勝を挙げて最多勝を獲得した。

 2019年からはMLBに挑戦し、シアトル・マリナーズに移籍。

しかし、この年は36本の本塁打を打たれ、日本人投手の歴代ワースト記録を更新してしまう。

2021年に自身初めてのMLBオールスターゲームに選ばれたが、その後調子を崩しFAとなった。

 2022年からブルージェイズに移籍。

先発ローテーションを担うことが期待されたが、不調から中継ぎに配置転換されるなど、不遇の年となってしまった。

 メジャー5年目の今季はフォームを改造するなど、投球を見直して勝負をかけた。

配球も速球を高め、変化球は低めと最近のメジャーの傾向を採り入れるようになった。

結果的に一発を打たれることも多くなったが、与四球が減少。

無駄な四球からの失点が減ったことが今季6勝(2敗)という勝ち星につながっている。

 菊池は「5年間、いろいろな経験や学んだことが、少しずつ形になっている。メジャーに来てから一番いい形で投げられている」と感じているという。

 花巻東の後輩の大谷翔平(エンゼルス)の活躍に注目があつまるが、投手陣の中では菊池の投球に期待したい。

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